タイムリミット ページ37
時の流れは残酷で
わたしは
為す術もなく、タイムリミットが迫る恐怖に怯えている
身を委ねるしかできることはない
でもそれでいいのかもしれない
さとしとの思い出はたくさんある
ひと夏で数え切れないほどの思い出が
あなたがいなくなってもきっと
私は生きていける
大丈夫、今までさとしがいなくても大丈夫だったじゃない
今まで通りの生活が戻ってくるだけ
ただそれだけなのに、どうしてだろうね
さとしに出会う前の私ってどんな生活してたんだっけ
わかんないや…
気がついたらそこにいて
私の日常を輝かせた
その日常が宝物だったってこと
気づくのが遅かったんだ
この際、私が覚えていることの中のひとつでもいい
ひとつだけでも覚えていてくれたら
私は、生きていける
そう思った
何回も何回も
キラキラした思い出を再生するの
それで、満足だから……
「んん…」
また勝手にベッドに上がって眠っているさとし
もう慣れちゃったけど…
起こさないようにそっと立ち上がろうとした
急に腕を掴まれた
「ずっと一緒が…いい」
泣きそうなグズグズ声で寝言を言った
なんで今そんなこと言うかな…
困っちゃうな
涙が込み上げてくるのを抑えて、掴まれている手を離した
私だってそうだよ
なんて、ね
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作者名：ひなな | 作成日時：2019年8月30日 4時
