20年前の君へ～【O.N.O.s】 (ページ33)

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臆病者ページ33

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「これやる」

そう言って差し出されたのは、1匹の金魚

何十匹も取っていたはずだけど、減らしたのかな

「あ、りがとう」

唐突のことで、私は反射的にそれをもらった

でも、あまり金魚は好きじゃない

だって、寿命が短いから

たったひと夏でいなくなってしまうから

「次、どこ行く？」

さとしは私の手を取って走り出そうとした

「わぁぁぁ！！」

咄嗟に掴まれていた手を振り払ってしまった

怖かった

これ以上あなたに触れられると

きっと

また好きになってしまう

もう止められなくなる

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さとしはゆっくり後ろを振り返った

その表情を見ると、胸が締め付けられて、目を逸らした

ごめんなさい

心の中で唱えた言葉はさとしには届かない

「も、もうさ、家帰らない？ちょうど帰る方法わかりそうだったんだよね！ね、そうしよ！？」

20年前に帰る方法がわかったかもしれないのは本当

でも、言いたかったことはこんなんじゃない

私、最低だ

「なんで…」

目を伏せて黙っていたさとしが、ようやく口を開いた

「ぇ？…」

「帰ってほしくないくせに……」

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「見てらんないよお前」

「強がんなよ……」

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視界がボヤけて目の前のさとしの表情が読み取れない

一瞬でも瞬きすると、それこそもう終わりだ

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「A」

さとしが何か言いかけた時だった

「あれ、A、どうしたの？」

「おおさか、くん」