遭遇 ページ19
通ったことがある道のはずなのに、違う道のように感じる
Aからは、あまり外に出るなと言われているが、部屋にずっといても暇なときはある
外は炎天下、キャップを被っていなかったら一発で頭皮が日焼けするだろう
街に出て、必ず目にするもの
国民的アイドルグループらしい、『嵐』の広告
今日も今日とて、どでかく駅前の上方に吊るされている
今より日焼けした顔、髪は上にあげて男らしい髪型
これが20年後の自分…
それは確かなのだろうけど、全く現実味がなかった
それに、俺以外のメンバーもあまり親しいやつはいない
二宮は、電話を頻繁にしてくるけど、あとはよく知らないやつばかりだった
本当に、このメンバーと組むのか…？と半信半疑になる
「ねえ、あれ…」
「うそ、大野くん…？」
コソコソと噂話が聞こえ、すぐさまその場を離れた
こんなはやくバレるなんて…
俺、どんだけ有名人なんだよ…
キャップをもう一度深く被り、駅周辺を足早に駆けた
すると、腕を勢いよく誰かに引っ張られた
「えっ」
なすがままに、黒いワゴン車に押し込められた
「大野さん、なにやってんですか！あんなとこいて、バレたらどうなるかわかってるでしょう？」
黒いメガネに、スーツをきた人に何故か叱られた
「ん？なんか若返りました？ってその髪どうしたんです！？」
キャップを取られ、ジロジロと顔を見られた
「なに、どうしたの？」
後ろから眠そうな声を出したのは…
「あれ、大野さんあなた今日オフじゃなかったっけ？」
俺の電話友達、二宮和也だった
物分りの悪い俺でさえもすぐに理解した
この状況は、非常にまずいと
はやく、この場から逃げなければならないと…
「リーダー？なんか若返ったね！」
ニコニコとまた後ろから顔を覗かせるのは、相葉雅紀
どちらも俺の知っている二人の20年後の姿だった
冷や汗が流れる俺を、二宮は怪訝そうに見つめた
「お、おれ帰る…！」
「ダメですよ、ここで野放しにできるわけないじゃないですか」
マネージャーらしき人物が俺を抑止する
「いや、でも…」
「また勝手に髪型変えて…あとで怒られてもしりませんよ」
とマネージャーはハンドルを切った
帰ると言いはったが、結局2人の現場まで車に乗せられることになった
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作者名：ひなな | 作成日時：2019年8月30日 4時
