心浮く ページ11
「ちょ、ねえまってよ」
相も変わらず、私の腕を掴んで前へ前へと進んでいく
「まっておおのく、うわぁぁぁ！！」
もともと千鳥足だった私は、何も無いところで引っかかりコケそうになった
「あぶな…」
抱きしめるような形で大野くんに寄りかかる
「あ、ごめ」
相手の体温が伝わるほど、密着度が高い
柄にもなく、胸が高なってしまった
私の腕を離すと「ん、」と前でしゃがんだ
「え？なに」
「おぶってやる」
「い、いいよ、大丈夫」
「いいから乗れって」
半場強引に、私の手を大野くんの肩にかける
私は仕方なく、大野くんに体を預けた
「おっも」
「えぇ！ごめん、やっぱ降りるよ」
降りようとすると、前方からクスッと笑い声が聞こえた
「うそ、軽いよ」
振り返り、私の顔を見てにへらと笑った
18歳の大野くんと関わって気づいたことがある
今のキリッと眉毛を整えている大野くんと違って、眉を下げてふにゃりと八重歯を見せて笑うのが可愛いところ
「か、からかわないでよ…」
いつもならもっと怒ってるはずなのに、この時はどうもそんな気分ではなくて
「なんで」
誰かにおぶられるのは久しぶりで
多分そのせいだと思う
「ん？」
ふわふわした気持ちになるのは
「なんで、ここわかったの？」
「偶然、Aが見えた」
「で、なんか帰りたそうだったから」
「わたし？」
「そう、お酒飲んでたでしょ」
なんでだろうね
お酒のせいかな
やっぱりふわふわしちゃうな
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作者名：ひなな | 作成日時：2019年8月30日 4時
