ココロ

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side Itsuki

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ガチャっと玄関が空いて

コツコツコツ、と ヒールを脱ぐ音が聞こえる。





樹「おかえり、A」

「……た、だいま」

樹「今日は病院行ってどうだった？」

「……」

樹「A？」

「……っ、」

樹「どうした、泣かないで…」

「……き、きょう、病院、、しゃべ、なくっ、」

樹「そっかそっか。ありがとう、伝えてくれて。」





月に2回通っている病院。

今日はその通院日で

いつもは俺も行ってたけど 今日は仕事だったから

初めてA1人で行くことになった。



いつも病院では

俺が隣にいて、やっと一言二言出てくる感じの状態で。

1人で行かせるのは さすがに厳しかったか。





樹「また腕 抓ったの？青くなってる、」

「……ん、」

樹「喋ろうと必死になりすぎるのはダメなんだよ？」

「……で、でも、話さなきゃ、」

樹「ゆっくりでいいんだよ？焦るのが1番だめ。」





Aの場合は難発だから

喋ろう喋ろうと強く思っても 頭が真っ白になって

言葉が出てこなくなってしまう。



俺と2人の時は 落ち着いて 安心できるのか

少し詰まりながらも喋ることが出来る。



でも他の人とってなると

言葉の最初が出てこなくて 全く喋れなくなるし、

その時に、もどかしくてなのか

ぎゅーっと 自分の腕を抓る癖がある。





樹「夜ご飯食べよう、A。ね？」

「……」

樹「そんな落ち込まなくていい事だよ？
病院の先生もわかってるし。ゆーっくり。」

「っ、……ご、ごめ、ね、」

樹「おいで……大丈夫だよ、大丈夫。」





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