しおむすびな関係 ２【狗巻棘】

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これからもそうやって、助けて…私は死にかけて
でも誰も私に助けられたことなんて知らずに

死んだことになっている私の存在なんてほんと…
誰も、知らずに

誰かを助けて
死にかけて
誰かを助けられなくて
傷ついて
知らない誰かに
狙われて、



私の人生はこんなことの繰り返しで終わってしまうのか。





指先の感覚が分からなくなる
目を瞑ると深い水の中に沈んでいく様な
体が鉛のように重たく、冷たい何かに飲まれるような

生きている事が呪いのような…もう、





……疲れた。




なんで生きなきゃいけないんだっけ

昔、誰かがドラマのセリフで「死んじゃだめだ！生きてれば必ずいいことがあるから！」と叫んでいた気がするけど



本当に？



そんなありきたりなセリフでグッときていた自分はなんて幸せだったんだろう。

生き残れたのが幸せだなんて誰が決めたんだろう

生き残ることがこんなにも残酷なこともあるのに。


体はここにあるのに、動かそうと思えば動かせるはずなのに
こんなにも無気力で体が重い。

このまま眠りについて目を開ける事なくずっとずっと目覚めないでいたい。




ああ疲れたな。






——————————————————






…


………



………っ！








『A！』




誰だろう


お願い、起こさないで


目覚めたくないの





『Aっ！！』




目覚めたくないのに

なんでそんなに悲しそうに呼ぶの

そんな優しい声で、呼ばないでお願いっ


「……棘くん」

『A！』



目を開けると目の前には棘くんの顔が。近いよ…
力強く手を引かれて抱き締められる。あまりの強さに小柄な彼のどこにこんな力があるのかと思うほどに。


「くるしいっ」

手には力は入らずダランと下げたまま一方的に抱き締められる形だったが、苦しいことを伝えるとやんわりと体を離して顔を見つめられる。


『良かったっ…生きてた。』

泣きながら、少し震えた声でそう言われると胸が痛い。
私はさっきまでこのまま目覚めたくないと考えていたのに
彼があまりに真っ直ぐに、熱い目を向けてくるものだから
掴まれた肩から、目から、涙から、
私に生きててほしい！生きててよかったと全身で、伝えてくるものだから


「うんっ……生きてるっ」



生きてたことに、死なずにすんだことに
ひどく安堵してしまった。





「死んじゃだめだ！生きてれば必ずいいことがあるから！」


頭に浮かんだのは誰かが言ったセリフだった。

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