…距離 ページ10
身長の事でキレた周平さんから逃げる。
何故か俺も彼女に腕を引かれて。
A:「はぁっ、はぁっ…!!!」
颯:「Aちゃんっ」
A:「ええからっ!!」
微かに漏れる息切れも何か色っぽいな、なんて下心もある。
重いはずのバックとカメラを持っていても走る速さは想像以上だし、体力もあると思う。
腕を引かれたときにぶつかった胸の柔らかさも忘れられない程下心を隠し切れない。
表情に出てないといいんだけど……。
A:「はぁ……はぁ……もうここまで来ればええやろ」
行きついた先は人気のないくぼんだスペース。
まず気づく人はいないであろうスペースに俺達は2人きり。
走ったからじゃない、動機がうるさい。
A:「まったく……ごめんなぁ、そーいち??」
颯:「俺を盾にするなんて……」
A:「しゃあないやん、安達さんセクハラするんやもん」
颯:「だからって俺安達さんとキスしそうな勢いだったんだけど??」
A:「それは…ごめん」
颯:「そういうのは好きな女の子としたい」
A:「そーいち、好きな子居るの??」
颯:「…いるよ」
隣にいる君だよ。
言えたらどれだけ楽になれるのか。
Aちゃんは気づいてないけど君に恋してから3年も経つ。
けどしっかり友人になったのはつい最近。
ましてや彼女は男性に興味がないって聞いたし、言える雰囲気でもない。
A:「今話題のイケメンピッチャーに好きな子居るなんて聞かないわけないやん!!その子、年下、年上??」
颯:「……同い年」
ほら、やっぱり自分だと思ってない。
あくまで広報目線。
好きな子にイケメンと言われて悪い気はしないけど…。
悟られないように答える。
A:「可愛いん??」
颯:「そりゃもちろん」
A:「えぇ〜気になる!!誰系??」
颯:「誰と言われてもな…その子の事しか見えてないから誰かに似てるとか考えたことない」
A:「言ってること男前やな」
颯:「そう??」
A:「普通言えへんよ、そんな漫画みたいなセリフ」
颯:「…そんなつもりないけど」
ほんのり身体が熱くなる。
颯:「逆にAちゃんは好きな人いないの、能見さん以外で」
勇気を振り絞って聞いてみた。
「能見さん以外」というのはかなり重要だ。
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作者名:柘榴 | 作成日時:2024年3月23日 20時