遅すぎた青春～山崎颯一郎～ (ページ8)

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…挑戦ページ8

ココアを買ってあげたあの日からすぐに二軍に落とされた。
それが今の俺の実力なんだと改めて思わされた。

でも、Aちゃんの言葉があるから早々落ち込みはしない。

A:『今からでも遅くないやん』

それって俺の恋が報われるって事??

A:『誰にでもスランプなんてあるやん。そーいちはそれがたまたまタイミング悪くなってしもうて離脱したわけやん』

そんなわけないか。
見事に話が嚙み合ってない。
俺は皆にAちゃんと仲良くなるのを先越されたって話をしてたのに、Aちゃんは真剣に野球の話をするもんだから俺も真面目に聞くしかなかった。

確かに実力の事でも悩んでたから、沁みる。
俺にとって戦力外通告はとてつもない挫折だった。
もう二度と野球が出来ないかも…そう思ったりもしたけどやっぱり野球が好きだった。
諦めきれなくて挑戦した。

A:『でも実力があるから支配下登録して戻って来たんやろ??何も問題ない。チャンスなんていつでも落っこちてんねんから掴むか掴まへんかはそーいち次第やねん。ここまで来たんやから、見返したろ、な??』

好きな人からそんな風に思われてたなんて。
涙が出そうだった。
ちゃんと俺の事見ててくれたんだな、知っててくれたんだなって。

何より「頑張れ」じゃなく「見返してやろう」と言う彼女の思いやりが嬉しい。
傍に居なくても支えてくれるんだなって勝手に思う。
そうだよな、俺次第だ。

だから前を向く。

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A:「お、そーいち」

それからしばらくして1軍に戻ってきた朝。
カメラを片手に大きなカバンを背負ったAちゃんと再会する。

颯:「おはよう」

A:「おはようさん」

颯:「それと、久しぶり」

A:「おん、久しぶり。調子はどう??」

颯:「まぁまぁ、調子はいいよ」

A:「まぁまぁじゃあかんやろ(笑)」

朝から彼女の笑顔が見れて幸せだ。

颯:「うそうそ、ちゃんと調子いいって(笑)」

A:「ならええんやけど??」

颯:「そっちは??」

A:「おかげさんで毎日忙しいで。仕事はやりごたえあるんやけど…」

安達:「Aちゃ～ん♡」

A:「うわっ安達さん!!?」

颯:「ちょっ!!!///」

突如現れた安達さんに驚いたAちゃんが俺の後ろに隠れた。