…ココア.You ページ7
そーいちに手を握られてる。
大きくて骨ばった手、マメだらけの固い手や。
A:「そーいち??」
颯:「…こっちの方があったかくない??///」
心なしかそーいちの顔が赤いんは気のせいやろか。
色白さんやからそう見えるだけやろか。
A:「あったかいわ…」
じんわりそーいちからの熱が伝わる。
颯:「……」
何でそんなにこっち見てるんやろ…ほんま、そーいちは掴めへん。
まだ仲良しとも言えるほどの仲でもない。
でも、同い年だし気は使わんでええしお互い気にするタイプでもない。
不思議な関係や。
颯:「……随分、遅れちゃったなって」
A:「え??」
急にそーいちが呟く。
颯:「実力不足で離脱するし、ケガもして…そうしてる間にも由伸にも後輩たちにも先越されて」
あぁ、気にしてるんか…。
A:「今からでも遅くないやん」
颯:「…??」
自分から話したくせに、そーいちは理解してない。
A:「誰にでもスランプなんてあるやん。そーいちはそれがたまたまタイミング悪くなってしもうて離脱したわけやん」
颯:「…うん」
A:「でも実力があるから支配下登録して戻って来たんやろ??何も問題ない。チャンスなんていつでも落っこちてんねんから掴むか掴まへんかはそーいち次第やねん。ここまで来たんやから、見返したろ、な??」
何か自分で言うとって恥ずかしなってきた…。
そーいちの顔が見れへん。
その代わりに、そーいちの握る手に力が込められる。
颯:「ありがと、Aちゃん」
A:「ええよ、別に……」
颯:「めっちゃ自信貰った」
A:「……おん」
颯:「もう負けないよ。見返してやる」
A:「……その意気や」
私なんかの言葉で元気になったんなら何より…。
A:「なぁ」
颯:「何??」
A:「いつまで手握ってるん??」
颯:「Aちゃんがあったかくなるまで」
何言うとるん。
ツッコミを入れようとすると綺麗な笑顔で微笑むそーいちがいる。
ほんま、顔だけはええんやけどな…。
A:「バカ言うてないで早くココア買うてや」
颯:「了解、立てる??」
A:「おん」
そーいちに腕を引っ張られ立ち上がる。
鼻血ももう止まってる。
颯:「ここって電子マネー使えたっけ」
A:「あっちの自販なら」
颯:「じゃあ行こっか」
A:「ごちそうさんです」
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作者名：柘榴 | 作成日時：2024年3月23日 20時
