…衝突 ページ6
A:「あれ、そーいち??」
ぶつかってしまったはまさかのAちゃんだった。
一瞬でも運命??なんて思ってしまった俺はバカだ。
颯:「ごめん、俺前見てなくて!!」
A:「せやろなぁ…あ、鼻血や」
颯:「うわぁマジごめん!!!どうしよ…!!!」
A:「落ち着きぃ、ティッシュぐらいあるわ」
慌てる俺を他所にAちゃんはてきぱき処置をこなす。
A;「鼻ん中にティッシュは流石になぁ…抑えとくしかないかぁ」
颯:「何てお詫びしていいのやら……」
A:「さっき水本コーチに怒られとったやろ」
颯:「はい…」
A:「そーいちは見た目と違ってアホやなぁ…」
颯:「滅相もございません」
A:「ふふ、アホのそーいち(笑)」
もっと怒られるもんだと思ってたから拍子抜けしてしまう。
逆に、Aちゃん笑ってるし。
笑うと普段の見た目より幼く見える。
…やっぱ可愛いな。
つい見惚れてしまう。
A:「ぶつかったんが私で良かったな」
颯:「Aちゃんでもダメだよ」
A:「私は丈夫やから、だてに桐蔭のマネージャーちゃうで」
そう言って力こぶを作ってみせるけど、女の子の腕だ。
華奢で折れちゃいそうなぐらい。
颯:「それでもダメなものはダメだ。本当にごめん」
A:「反省してるならええって。大したケガやあらへん」
颯:「気が済まないんだ」
責任を取りたい。
好きな子を傷つけた罪は重い。
本気な俺に対してAちゃんは困ったように眉を下げる。
A:「強情やな…そんなに気にしてるんやったら、あったかいココア買ってや」
颯:「…そんなのでいいの??」
A:「冷え性やねん…」
「ほら」と言うように右手を差し出すAちゃんの小さい指先を握る。
確かに冷たい…。
…って、手握ってる!!!?
A:「そーいちは熱いな」
颯:「あ、あぁ…うん…///」
君のせいだよ。
そう思いながらも幸せを噛み締めたくその手を離せずにいる。
A:「人間カイロや(笑)」
彼女は当然俺の事なんか意識してないから暖を取る為にそのまま手を握られてる。
こうも無防備だと、調子に乗ってしまう。
ギュっ
A:「そーいち??」
颯:「…こっちの方があったかくない??///」
指先だけではなく彼女の右手を自分の大きな手で包み込む。
小さすぎる彼女の手は簡単に収まった。
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作者名:柘榴 | 作成日時:2024年3月23日 20時