遅すぎた青春～山崎颯一郎～ (ページ17)

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…モヤモヤページ17

練習も終わりその日は登板もなく寮に帰宅。
汗を流しベットに沈み込み今日の事を思い返す。

颯:「Aちゃん………」

ひょんなことから一気に距離が縮まった気がするのは俺だけだろうか??
安達さんには感謝しなくてはいけない…俺を盾にするAちゃん可愛かった。
俺を頼りにしてくれたって事にぐっと来る。
その場に居合わせたにせよ好きな子に頼られて嬉しくないはずがない。

腕を引っ張られて走ったりもした。
運動神経がいいのか足が速くて、プロ野球選手の俺でも軽く息が切れた。
機材も重いのに、よくあの細い身体で持ちながら走れるものだ。
関心する。
彼女も言っていた通りだてに桐蔭のマネージャーをやってただけある。

そこからまさか恋愛話になるとは思わなかった。
俺が不意に零した「好き」に反応するなんて。
彼女の事を想いながらヒントをまき散らしても気づかないのは、正直傷ついた。
まぁその鈍感な所も含めて好きなんだけど。

逆に彼女に好きな人が居ないのか聞いた時は心臓が飛び出しそうになるぐらい怖かった。
もし好きな人が居たら、もし能見さんの事が本気だったら。
嫌な考えしか浮かばない。
しかし、あっさり彼女に想い人はいないと聞くとどっと安心と疲れが押し寄せた。

調子に乗って俺の欲望も言ってみたら、見たことのない彼女の表情。
真っ赤になって、りんごみたい。
美味しそうで口づけたかった。
Aちゃんでもそんな表情するんだ。
新たな発見だった。

真っ赤になった彼女はその後チラッと俺を見ては視線を逸らす。
少しは意識してくれたんだと思うと嬉しかった。
2人っきりっていう空間も相まってドキドキが止まらない。
ずっと時間が止まればいいと思った。

でもそんなわけにもいかなく邪魔が入る。
俺が悩んでるのはそこだ、さっきからモヤモヤが晴れない。

颯:「どうしてお前なんだよ………」

由伸の怒った顔が忘れられない。
嫉妬の中に、憎しみが込められてる。
完全なる敵意だ。

Aちゃんを好いてる人がいるのは知っていたが、相手が由伸だと複雑な気持ちだ。
実力も交友関係も由伸の方が上、そして俺達は同じピッチャーで同じ球団。
私情を持ち込んではいけない。
チームで日本一になることが目標。
それが如何に難しいことか。

何だか今日は寝れそうにないや……。