…プロローグ ページ1
女生徒:「山崎くん!!!」
女生徒:「これもらって下さい!!」
負けたのに、よくこの状態でもアピールしてくるよな、なんて呆れながらも物を受け取る。
チームメイトも泣き疲れて何も言ってこない。
??:「これ、落ちたよ」
颯:「え??」
??:「これ、君のちゃうん??」
その時後ろから声を掛けられ振り向くと別のチームのユニフォームを着た女の子が俺が落としたであろうタオルを差し出していた。
颯:「あ、ありがとう」
??:「別にええよ。…おせっかいやけど、嫌なら嫌言った方がええで」
綺麗な子だった。
黒髪がサラサラなびいて、少女漫画に出てきそうなほど肌が白くて顔が整ってる。
でも、その子の目には涙が浮かんでた。
??:「負けて悔しくないんか…っ、君も敗者なら私の言ってる意味分かるやろ」
颯:「……」
??:「ごめん…ほんまおせっかいや。ほな、私もう行くから…」
何も言えない俺に謝って去って行く彼女のユニフォームは強豪校大阪桐蔭高等学校のもの。
確か、大阪桐蔭も2回戦で負けたはず。
だからか、彼女の言葉が酷く胸に刺さった。
女生徒:「山崎君??」
颯:「ごめん、1人にさせてくれるかな??」
もうプレゼントをもらう気にはなれなかった。
彼女の言う通り、こんな事してる場合じゃない。
ようやく1人になって涙を零す。
悔しいに決まってるだろ…俺だって、勝ちたかった……。
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それから時が過ぎて。
俺は俺はオリックスバファローズにドラフト6位指名をされ、入団会見を終えた。
その後すぐに先輩達に挨拶をしに行くことになって、たまたま見かけたのがあの子で。
??:「98年生まれ、大阪桐蔭出身、仲澤A。広報部です、よろしくお願いします」
初めてあの子の名前を知った。
忘れもしなかったあの子の名前、仲澤Aちゃん。
また会えたことと運命的なこの再会に、恋をしたんだと理解するまでに時間は早々掛からなかった。
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作者名：柘榴 | 作成日時：2024年3月23日 20時
