そういうの、ずるい。【二口堅治】

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「Aちゃんは、二口と夏祭り行かないの？」




その言葉に、きょとんとしてしまった。


ひさしぶりに行われている女子会。舞ちゃんは部活で欠席だけれど、女子のほとんどが集まれたと思う。まあ、そもそも女子の数が少ないんだけど……。

女子のコミュニティがせまいからか、わたしと二口くんのことはみんな当たり前のように知っていて、すこしだけ畏怖の念を抱いた。


そんなこんなで始まった女子会で、言われた言葉。そういえば昨年、夏休みで一日だけ、いつもと比じゃないほどバイト先がすごく混んだ覚えがある。あれは、夏祭りの日だったのかな。

夏祭り行かないの、なんて言われても、きっと二口くんは部活だから。
みんなの残念そうな声に混じって、ちょっとだけ高めの声が響く。




「夏祭りの日、バレー部休みらしいよ！」

「えっ、まじで？」

「パンタロンが言ってたから確かな情報」

「ぱんたろん？」

「C組の女川」




バレー部の、男の子だったと思う。
みんなの歓声と、向けられる期待の眼差し。耐えられなくて、スマホを手に取り緑のアプリをタップした。

部活中だけど、送るだけならいいよね。もし断られたらどうしよう。オフなんてなかなかないだろうから、休みたいんじゃないかなあ。


でも、いつも二口くんから誘ってくれるから、たまにはわたしからも誘いたい。
もし一緒に行くことになったら、バイト代で新しい浴衣を買おう。ちょっと、かわいいやつ。




「はあ……Aと二口がねぇ……」

「な、なに？」

「A組の男子がAちゃんのことかわいいかわいい言ってたから、二口がいびられてる」

「……工業高校は、女子が少ないからフィルターかかってるだけだよ」




みんなのほうがぜんぜんかわいいのに。なんて言っても、やっぱり褒められるのはうれしくて自然と口角が上がってしまった。


二口くんはかっこいいから、隣に並んで恥ずかしくないようにしたいなあ。




「浴衣は私たちが選んであげるね！」

「心強いなあ」




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拙い文章ですが最後までお付き合いいただければ幸いです。
これからもこの作品を宜しくお願い致します。

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