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「えっ、じゃあ二口と全然話してないの!?」

「うん……」




部活、忙しそうだし。なんていうのはただの言い訳に過ぎないけど。

舞ちゃんはいつも、二口とは部活の話をしてるだけだから、なんて聞いてもないのに弁解してくる。わかってるよ、なんて笑っているけれど、ほんとうは心の奥底で黒い感情を飼っていた。


二口くんと話していないってだけで、怒ってくれる舞ちゃんになんて感情抱いているんだろう。




「あ、二口」

「え?」




舞ちゃんの声で顔を上げる。

彼は女の子と話していて。あの子は、浴衣を選んでくれた、わたしの友達だ。
なんだかすこし照れたような表情をしている二口くんに、また、どろっとしたなにかが蓄積されていく。

なにしてんのアイツ、なんて怒っている舞ちゃんの声は耳に入らなかった。

女の子がなにか揶揄うように笑うと、二口くんは一気に顔を紅くさせた。


耳まで紅く染め上げた二口くんを見た刹那、どす黒い感情が襲ってきて。



──あんな表情、するなんて。



あの子のおかげで、夏祭りに行けたのに。
あの子にはたくさん応援してもらったのに。


この感情の名前を理解した瞬間、自分がとても愚かで下劣なものに思えて。

教科書が、腕をすり抜けるようにして床に散った。


廊下にいる人たちの視線が集まる。
大きく目を見開いてこちらを見る二口くんの姿も、視界の端に映った。



──ここから逃げ出したい。



わたしは急いで教科書を拾い集めると逃げるように駆け出した。




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(プロフ) - あんみつさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて本当に嬉しいです……!こちらまだ単行本未収録でしたか!申し訳ないです。注意書き追加しておきます。 (2020年3月1日 9時) (レス) id: 08804b505e (このIDを非表示/違反報告)
あんみつ(プロフ) - 完結おめでとうございます!とても面白くて更新凄い楽しみにしてました!!すごいキュンキュンさせられてました!最後の方に本誌ネタがあるんですが多分単行本派の方もいらっしゃると思うので本誌ネタ注意と書いておいた方が良いかと…… (2020年3月1日 8時) (レス) id: 86e8f7f917 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 橘さん» コメントありがとうございます!私の書く二口くんにときめいてくださっているのなら嬉しい限りです! (2020年3月1日 2時) (レス) id: 08804b505e (このIDを非表示/違反報告)
- とても面白く二口くんにキュンキュンさせられてますww (2020年2月9日 19時) (レス) id: a7677655c7 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - アヤミさん» コメントありがとうございます!少女漫画のイケメンような二口くんを書きたいと思い作成したので、そう言っていただけて本当に嬉しい限りです!応援ありがとうございます、これからもこの作品を宜しくお願い致します。 (2020年1月16日 22時) (レス) id: 08804b505e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年1月13日 19時

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