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沈黙と緊迫感。
大勢の視線を受けながらも現れた男は、表情一つ崩さずに感情の読めない顔を王に向けた。
「すみません、今来たものでして。彼らは何と？」
「要求には応じないそうだ」
「ほう。ではどうされます？」
「どうもこうもない。誠に残念だが、後は剣で語るしかなさそうだな」
「要求の割合を下げる等では事足りない、と」
「無理だな。今更そんなことで修復などできるものか」
「おや、そうですか」
その場にそぐわない笑みを浮かべ、再び靴を鳴らして歩み出る。
トントンとオスマンの前まで来ると、彼はゆっくりと目を細めた。
「貴方方も意思は変わらないと。譲歩する気は？」
「あると思いますか？」
「こんなことを許せるとは到底思えませんね」
「なるほど。確かに交渉は決裂したようだ。…では、私の出番ですかね」
外務大臣はくるりとその場で振り返る。
必然的に彼らと対面していた王や城内の大臣達と目が合った。
威勢のいい彼らの顔を見渡し、お立ち会いと言わんばかりに優雅に両手を広げた。
「では王様、矛を収めてA秘書官を解放しましょう」
「…は？何を言っている？」
「そして早めに謝罪を。今ならまだ間に合うでしょうから」
「何故我らが屈しなければならない！？これだけの国の協力が得られているのに、何故またもや辛酸を舐めなければならんのだ！まさか貴様裏切るつもりか！？」
「裏切るなんてとんでもない」
にこりと、いや、にやりと弧を描く唇。
背筋に悪寒でも走ったかのような兵達を一瞥し、外務大臣はおかしそうに続きを話す。
「今なら間に合うと言ったでしょう。早めの解決と事態の収束、貴国が受ける被害を最小限に留めるための提案です」
「嘘だ！くっ、貴様が裏切るとは、あの女やはり嘘をついていたのか！こうなったらリズもまとめて始末を、」
「…やれやれ、先程から裏切りだの嘘だの…信用と信頼のリズ国に対してあまりの侮辱だな」
ふうと溜息を吐き、一気に表情をなくした男に彼の部下達の肩が跳ねる。
トントンとオスマンが静かに動向を見守る中、外務大臣は口元だけに笑みを貼り付けた。
「私が、リズ国が、いつ貴国と同盟を結ぶと言いました？いつ“約束”しましたか？書面は？判は？どうなんですか外交官殿」
「そっ、それは貴方が内密に進めたいからと…！」
「そう、断った。それでも邪な考えの貴国が考えを改めることができないか手を打った。差し伸べた。しかし貴国は断った。それだけのこと。…ああそれと、彼女は1つも嘘をついていない。ついたとしたら、」
私が、彼女を嫌っているという1点だけだ。
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華凛(プロフ) - 1番最初から読んできましたが、このパートの78話目のgrさんのセリフに思わず胸がきゅんとしました。お体に気をつけて更新してください。楽しみにしてます。 (2019年7月4日 13時) (
レス) id: 1c6f67374d (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - マロウブルーさん» コメントありがとうございます。長いお話ですが気に入っていただけて嬉しいです！まだまだ続きますが、よければ今後もお付き合いいただければ幸いです！ (2018年11月18日 16時) (レス) id: bb8b65fc2e (このIDを非表示/違反報告)
マロウブルー - あぁ…何で綺麗で壮大で素晴らしい話なんでしょうか…あなたが神か…そうか…！いやもう、ずっと憧れです！追い付きたいと思うことすらおこがまし(殴)本当にこの話大好きです！影ながら応援しております…！ (2018年11月17日 23時) (レス) id: 75a1a6830c (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - この話が面白いのでシャオロンのファン辞めますさん» コメントありがとうございます。生きがいとまで言っていただけて恐縮です…！更新遅くて申し訳ないですが、今後とも楽しんでいただけるよう頑張ります！ (2018年9月15日 20時) (レス) id: bb8b65fc2e (このIDを非表示/違反報告)
この話が面白いのでシャオロンのファン辞めます - 毎回楽しく読ませてもらっております。ぎすメモとともに私の生きがいです。無理せず毎秒投稿してください！(ネタです。すみません。健康に気をつけてください！更新待ってます！) (2018年9月15日 20時) (レス) id: 8c4421707f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：璃亜
| 作成日時：2017年12月1日 22時
