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そういえば彼に会っていない。
そう気がついたのは食堂で鬱やシャオロンと話している最中だった。
余談だが二人は姿を見かけるたびに声をかけて誘ってくれるので有り難い。
Aは仕事の邪魔をしないよう、用事がない限り積極的にその場へ赴くことは少なかったが、自分と同じ内勤が主な彼であれば、今日もいつもの薄暗い部屋で業務を全うしているのだろう。
しかし食事時は必ず姿を現すのに何日も見ていないのは久しぶりだ。
戻ってきた際に部屋に置かれていたシルバーのインカムを思い出しつつ、人気の少ない廊下を歩く。
と、丁度その人物が角から姿を現した。
『おや、ロボロさん』
「！」
『お疲れ様です。これからお昼ですか？』
「う、うん。そんな感じ…Aは？」
『先程いただいたところです。今は食後の散歩中ですかね』
「そう、なんや。…あの、」
どこか落ち着かない様子で、しかし決意を固めたように勢いよくロボロは頭を下げる。
ひらりとなびいた天の布の下、一瞬だけ覗いた目元は何かを堪えるように固く閉じられていた。
「っ、ほんまごめん！謝って済むなんて思ってへんけど、それでも俺、他に思いつかんくて…ほんまにごめん…！」
『あの、ロボロさん？私、謝られる覚えがないのですが…』
「あの日俺が気付けんかったから…俺がAを危険な目に合わせたんや…。ほんまに、すまんかった。何が警備や、職務怠慢にも程があるわ…」
項垂れながらも頭を下げ続けるロボロ。
Aは困ったように眉を下げると、努めて優しい声を彼にかける。
『ロボロさんは、きちんとご自分の仕事を全うしてくださったではありませんか』
「できてへんよ…できてたらAを危険な目に合わせたりせん」
『いえ、私は自業自得な部分も多いので。でも貴方は同時多発的に起きた火事の状況に迅速に対処してくださったでしょう？それに敵国についてもすぐに掴んでくださったり、監視カメラの見直しも行ってくださったと伺いましたよ』
「…そんなん当たり前のことや。何の償いにもなってへん」
頑なに顔を上げないロボロに小さく息を吐く。
やがて仕方ないというように苦笑をこぼした。
『…では一つだけお願いを聞いてもらえますか？』
「何でも言うて。俺ほんまに何でもするから」
『わかりました。今日の夕食はご一緒したいです。それで帳消しということで』
「えっ、」
ようやく表を上げた天の字を見てAは楽しそうに笑う。
その顔は彼女にしては珍しくいたずらっ子のような無邪気な笑顔で。
ロボロは一度口を真一文字に結んだ後、少し震えた声で快く了承した。
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華凛(プロフ) - 1番最初から読んできましたが、このパートの78話目のgrさんのセリフに思わず胸がきゅんとしました。お体に気をつけて更新してください。楽しみにしてます。 (2019年7月4日 13時) (
レス) id: 1c6f67374d (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - マロウブルーさん» コメントありがとうございます。長いお話ですが気に入っていただけて嬉しいです！まだまだ続きますが、よければ今後もお付き合いいただければ幸いです！ (2018年11月18日 16時) (レス) id: bb8b65fc2e (このIDを非表示/違反報告)
マロウブルー - あぁ…何で綺麗で壮大で素晴らしい話なんでしょうか…あなたが神か…そうか…！いやもう、ずっと憧れです！追い付きたいと思うことすらおこがまし(殴)本当にこの話大好きです！影ながら応援しております…！ (2018年11月17日 23時) (レス) id: 75a1a6830c (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - この話が面白いのでシャオロンのファン辞めますさん» コメントありがとうございます。生きがいとまで言っていただけて恐縮です…！更新遅くて申し訳ないですが、今後とも楽しんでいただけるよう頑張ります！ (2018年9月15日 20時) (レス) id: bb8b65fc2e (このIDを非表示/違反報告)
この話が面白いのでシャオロンのファン辞めます - 毎回楽しく読ませてもらっております。ぎすメモとともに私の生きがいです。無理せず毎秒投稿してください！(ネタです。すみません。健康に気をつけてください！更新待ってます！) (2018年9月15日 20時) (レス) id: 8c4421707f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：璃亜
| 作成日時：2017年12月1日 22時
