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訓練場では兵士達が鍛錬を行っていた。
それに混ざらず壁際で眺めているコネシマに声をかける。


『お疲れ様です』
「お?珍しいなぁ!Aがここ来るなんて!」

そう笑いながらにこやかにこちらへ歩み寄るコネシマ。
悪気のない声は訓練場に響き渡り、何人かの兵がこちらを向いた。

「どしたん?あっ、わかった、俺の鍛錬見に来たんやろ!」
『それはまた今度の機会にお願いしようかと。今は別件の仕事中ですので』
「何やそうなんか」

残念そうなコネシマにフォローを入れようとする。
しかしその前にゾムがAの前に一歩歩み出た。


「今日混んでるな」
「あ、ゾム。鍛錬しに来たんか?」
「いや、俺は違うけど、シッマはもう終わったん?」
「おう、とっくにな。暇やから他の奴の見てた」

コネシマが親指で示す兵達はゾムの姿を視認すると手を止めて敬礼をする。
そちらを一瞥するとゾムはふーんと興味なさそうに呟き、Aの方へ振り返った。

「暇やって。渡してええんちゃう?」
「え?何の話?」
「喜べやシッマ。総統秘書様がお前宛てに仕事持ってきてくれたで」

ニヤリと笑うゾムに促されてAは書類を手渡す。
コネシマは疑問符を浮かべながら書類に目を落とすがすぐに顔を歪めた。


「げっ、やり直しかよ。トントンどこ直せっちゅうねん」
『失礼します。……恐らくここと、ここの部分ですね』
「え?…あ、ほんまや間違えとる。こっちは内容抜けとるやんけ。すごいなA!ちょっと見ただけでわかるんか!」
『いえ、まだまだ勉強中です。…トントンさんの機嫌があまりよろしくないので催促のかかる前に提出された方がよろしいかと』
「マジか!うわ、これ遅れたら絶対ヤバいやつや!」
「Aが先に教えてくれて良かったなぁ」
「ほんまやで!ありがとうな!」
『いえ、』

謙遜したAだが、その言葉を最後まで言う前に再びゾムがわざとらしく口を開く。


「いやーほんまさすがやわー、気もきくし大先生よりよっぽど仕事できるわー」
「大先生と比べたらAが可哀想やろ」
「せやな。もうほぼトントンの秘書やもんなぁ。あれ?研修っていつまでやったっけ?」
『…急遽今日までになりました。非番明けからは正式に総統秘書をしろ、と』
「え、早っ」
「グル氏やな。覚えんの早かったらしいもんなー」
「そうなんや!グルッペンの相手大変やろうけど頑張るんやで!」

バシバシと背中を叩くコネシマ。
ゾムは人一倍いい笑顔を浮かべて周囲を見渡していた。

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ミリオ - 小説読ませていただいてます!いやもう読む手が止まらないくらい、面白いです。グル氏の少し子供っぽいところがツボで、来るたんびに部屋で一人で「キャー!!」って言ってますw私は読むことしかできませんが、これからも頑張ってください! (2020年3月23日 2時) (レス) id: 5e8093b1cc (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - 豆粒さん» コメントありがとうございます。わかりやすいですか…!?嬉しいです!更新遅くて申し訳ないですが、またいらしていただけると嬉しいです。 (2017年11月27日 8時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
豆粒 - はじめまして!内容が濃くて続きが気になってしまいます(*´∀`*)あと その場の状況がわかりやすい詳しい文にとても惹き付けられちゃいます、更新お疲れさまですっ (2017年11月26日 20時) (レス) id: 6ecce97bae (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - RIARUさん» コメントありがとうございます。面白いと思っていただけて嬉しいです!いえいえ、私の話は参考にできるほどではないので…。ゼロからオリジナルで書かれた方がもっと面白いお話ができるかと思います。 (2017年11月21日 12時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
RIARU(プロフ) - 作品読ませていただいてます!とても面白いです。私も小説を書いてるんですが参考にしてもよろしいでしょうか?失礼だったらすみません。 (2017年11月19日 21時) (レス) id: 88c227d681 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:璃亜 | 作成日時:2017年7月7日 23時

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