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こじんまりとした一軒の喫茶店は、街の大通りから少し離れた所に立っていた。
意気揚々と入っていく総統の姿を見て、Aは即座にここが予定の休憩地だと察する。
アンティークのランプに少し年季の入った木製の壁、席数は多くないが細かな装飾が施されたテーブルと椅子、落ち着いた店員と静かな店内。
なかなか雰囲気の良さそうな店だ。
席に案内されてメニューを見る。
悩みながらもようやく決まった様子のグルッペンの分と共に自身のコーヒーを注文すれば、またもや彼は不満気な顔をした。
「Aは何か頼まないのか？」
『コーヒーをいただきますよ』
「違う、デザートだ。甘いものは嫌いではないだろう」
『そうですね、ですがそれはまたの機会に。一応仕事中なので』
コーヒーを頼んだのもすっかり染み付いた習慣だ。
本来は紅茶の方が好きだが、いつの間にか仕事中はコーヒーばかりを飲むようになった。
実際その方が目は覚めるし、頭も回るのだから理にかなっている。
しかしやはりグルッペンは不満そうだ。
「別に俺は咎めたりしない」
『存じておりますよ。むしろこの場合は私が咎める立場ですね』
「共犯者になってもいいんだぞ？」
『お気遣いだけいただいておきます』
Aがそう返すと、目の前の男は遂にため息を吐いた。
「…お前は遠慮しすぎている。もっと欲を出していい」
『そんなことはないと思うのですが』
「いいや、そうだ。特に俺に対しては未だに距離がある。確かに俺はお前の直属の上司にあたるのかもしれないが、他の奴と接する時みたいにもっとくだけた態度でいいんだ。これでは何の為に幹部と同様の地位を与えたかわからない」
グルッペンの不満にぽかんと呆けるA。
正直言っていることは半分も理解できていない。
グルッペンと距離を置いたつもりもなければ他の幹部とくだけた態度で接した覚えもないし、何より本来はそんなことの為に地位を与えた訳じゃなかっただろう。
だが、そんな中でも一つだけわかったことがあった。
『…ええと、もしや今日の外出は私と親睦を深めようとしてくださったので…？』
「……悪いか」
『いいえ、むしろご配慮に気づかず申し訳ございませんでした』
「だから、そういうところだ」
『ええ…？』
困ったように眉を下げるA。
ひとまず厚意に報いようと店員を呼び止めてコーヒーの注文を取り消す。
代わりに紅茶を頼めば、ようやくグルッペンは少しだけ口角を上げた。
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ミリオ - 小説読ませていただいてます！いやもう読む手が止まらないくらい、面白いです。グル氏の少し子供っぽいところがツボで、来るたんびに部屋で一人で「キャー！！」って言ってますw私は読むことしかできませんが、これからも頑張ってください！ (2020年3月23日 2時) (
レス) id: 5e8093b1cc (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - 豆粒さん» コメントありがとうございます。わかりやすいですか…！？嬉しいです！更新遅くて申し訳ないですが、またいらしていただけると嬉しいです。 (2017年11月27日 8時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
豆粒 - はじめまして!内容が濃くて続きが気になってしまいます(*´∀`*)あと その場の状況がわかりやすい詳しい文にとても惹き付けられちゃいます、更新お疲れさまですっ (2017年11月26日 20時) (レス) id: 6ecce97bae (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - RIARUさん» コメントありがとうございます。面白いと思っていただけて嬉しいです！いえいえ、私の話は参考にできるほどではないので…。ゼロからオリジナルで書かれた方がもっと面白いお話ができるかと思います。 (2017年11月21日 12時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
RIARU(プロフ) - 作品読ませていただいてます！とても面白いです。私も小説を書いてるんですが参考にしてもよろしいでしょうか？失礼だったらすみません。 (2017年11月19日 21時) (レス) id: 88c227d681 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：璃亜
| 作成日時：2017年7月7日 23時
