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再び元の服に着替え終わったAが出てくると、グルッペンと店主が話し込んでいる。
かいつまんで話を聞けば、どうやらAの軍服はそのまま店主が城に届けてくれるらしい。
そして更に同じ物を追加で何着か依頼したようだった。
「もう明日からはこれでいいんじゃないか？そのくらい似合っていたぞ」
『毎日あの服を着ろと』
「普段からきっちり全部着なくてもいいし着方もアレンジして構わないが、…何だ、嫌なのか」
『いいえ、そういう訳では。…ただ少し目立ちそうだな、と』
黒はグルッペンの色、この軍内ではそう言われても納得できる程黒い色は彼に馴染んでいる。
そんな彼の隣に同じようにネクタイを締めて並ぶことができるかと言われれば、答えは否だ。
「どちらにしても俺の隣に居ればそれなりに注目はされるぞ」
『…ああ、そうでしたね。では考えておきます』
曖昧に濁したA。
グルッペンは少し不思議そうに、しかしそれ以上は追求せずに話題を変える。
「さて、ここでの用は済んだが、ついでに少し他の服も見て行ったらどうだ？あまり私物を持って来なかったそうじゃないか」
『いえ、そんなお気遣いなく。軍服を仕立てていただいただけで十分です』
「俺が選んでもいいんだが、そうすると暗い色ばかりになるしな…こういうのは兄さんや大先生の方が得意なんだが」
『グルッペン様？私の話聞いてらっしゃいますか？』
困り果てた様子で問いかけるA。
そのやり取りを店主は微笑ましそうに見守っていた。
結局軍服の注文だけを終えて外に出る。
押し問答はAが勝ったようで、グルッペンは少し不満そうな顔をしていた。
他に欲しい物はないのか、と問われるが、当然Aは首を横に振る。
そのことに彼は更に不満を表した。
「…遠慮はいらんと言っただろう」
『これはさすがに遠慮しますよ』
「金の心配か？」
『それもありますが、公務の時間を割いていただく訳にはいきませんから』
「む、相変わらず真面目だな」
『むしろ貴方はもう少しご自分の立場を、–––––』
そこでAは言葉を詰まらせる。
そして自身を落ち着かせるように胸に片手を当て、大きく深呼吸をした。
あの人に何度も言ったフレーズがここで出てきそうになるなんて。
吹っ切ったつもりでも未だエーデルの影は根強く残っているようで、それが誇りでもあり、辛くもある。
先を歩いていたグルッペンが異変に気がついて振り返るが、その時には既にAの表情は元に戻っていた。
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ミリオ - 小説読ませていただいてます！いやもう読む手が止まらないくらい、面白いです。グル氏の少し子供っぽいところがツボで、来るたんびに部屋で一人で「キャー！！」って言ってますw私は読むことしかできませんが、これからも頑張ってください！ (2020年3月23日 2時) (
レス) id: 5e8093b1cc (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - 豆粒さん» コメントありがとうございます。わかりやすいですか…！？嬉しいです！更新遅くて申し訳ないですが、またいらしていただけると嬉しいです。 (2017年11月27日 8時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
豆粒 - はじめまして!内容が濃くて続きが気になってしまいます(*´∀`*)あと その場の状況がわかりやすい詳しい文にとても惹き付けられちゃいます、更新お疲れさまですっ (2017年11月26日 20時) (レス) id: 6ecce97bae (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - RIARUさん» コメントありがとうございます。面白いと思っていただけて嬉しいです！いえいえ、私の話は参考にできるほどではないので…。ゼロからオリジナルで書かれた方がもっと面白いお話ができるかと思います。 (2017年11月21日 12時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
RIARU(プロフ) - 作品読ませていただいてます！とても面白いです。私も小説を書いてるんですが参考にしてもよろしいでしょうか？失礼だったらすみません。 (2017年11月19日 21時) (レス) id: 88c227d681 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：璃亜
| 作成日時：2017年7月7日 23時
