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ガタンと扉が開く音がする。
階下で聞こえたその音にAは早足で階段を駆け下りた。
玄関ホールに居たのは一週間ぶりに会う男。
彼はAの姿を見つけると少し安心したように微笑んだ。
『兄さん、お帰りなさいませ』
「おん、ただいま、A」
和やかな二人は側から見ているとそれこそ兄妹のように見えなくもない。
近すぎず、遠すぎず、適度な距離感で、しかし時に親身に話し合う仲の兄さんは、Aにとっては幹部の中でも特殊な立ち位置だった。
城に居ない時間が他の幹部より多いのも一因だろう。
疲れを労うAに彼は一つの紙袋を差し出した。
「これ、お土産」
『ありがとうございます。皆さんにもお見せしないとですね』
「ちゃうよ、Aへの土産。皆には菓子買ってきたから」
そう笑って部下の一人が持つ紙袋を指差す。
それは少し大きめの物で、部下は一礼すると紙袋を持ったまま幹部の食堂へ向かっていく。
今日のティータイムのお供はあれになるのだろう。
ではこの袋の中身は何なのだろうか。
「ほら、前話したことあったやろ。サハルのガラス工芸品」
『はい、確か全て手作業で作っていて、一品物しかないとおっしゃってましたね』
「そうそれ。A気になっとったみたいやから」
試しに買ってみたけど、まあ気に入ったら使えばええよ。
そう言って歩き出す兄さん。
お礼を述べて見送るが、自分がもらってもいい物なのだろうか。
すると考えていることが伝わったのか、彼は一度歩みを止めるとストールをなびかせながら振り返った。
「どうせあいつらにやっても価値わからんやろうし、気にせんでええからな」
少し悪戯に、少し棘を混ぜて笑う兄さんに、Aは彼らの興味のある物を思い浮かべる。
甘味、兵器、煙草、酒、野菜、武器、とそこまで考えて眉間に皺を寄せたAを見て、兄さんはその顔に同情の色を浮かべた。
自室で一人で開けてみると、それは小さめのランプのような形のキャンドルホルダーとアロマキャンドルだった。
ステンドグラスのように貼られた色鮮やかなガラスは中のキャンドルの炎でキラキラと揺らめき、殺風景だった、デフォルトに近いAの自室に彩りと微かな花の香りを運んでくる。
あまり女性らしい小物を持っていなかったAの乙女心が、今確かに刺激された気がした。
『兄さん…！ありがとうございます…！』
「お、気に入ったか？」
『はい…！』
「ならよかったわ」
彼は嬉しそうに微笑んだ。
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ミリオ - 小説読ませていただいてます！いやもう読む手が止まらないくらい、面白いです。グル氏の少し子供っぽいところがツボで、来るたんびに部屋で一人で「キャー！！」って言ってますw私は読むことしかできませんが、これからも頑張ってください！ (2020年3月23日 2時) (
レス) id: 5e8093b1cc (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - 豆粒さん» コメントありがとうございます。わかりやすいですか…！？嬉しいです！更新遅くて申し訳ないですが、またいらしていただけると嬉しいです。 (2017年11月27日 8時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
豆粒 - はじめまして!内容が濃くて続きが気になってしまいます(*´∀`*)あと その場の状況がわかりやすい詳しい文にとても惹き付けられちゃいます、更新お疲れさまですっ (2017年11月26日 20時) (レス) id: 6ecce97bae (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - RIARUさん» コメントありがとうございます。面白いと思っていただけて嬉しいです！いえいえ、私の話は参考にできるほどではないので…。ゼロからオリジナルで書かれた方がもっと面白いお話ができるかと思います。 (2017年11月21日 12時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
RIARU(プロフ) - 作品読ませていただいてます！とても面白いです。私も小説を書いてるんですが参考にしてもよろしいでしょうか？失礼だったらすみません。 (2017年11月19日 21時) (レス) id: 88c227d681 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：璃亜
| 作成日時：2017年7月7日 23時
