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アイスを食べ終わった後、鬱とシャオロンに連れられたA達は街のあちこちを見て回る。
整然と整えられた道は歩きやすく、周囲の店は活気に溢れていた。
もちろんそれがこの国の全てではないだろう、しかし目に見える範囲では少なくとも国に不満や恨みを持つ者は見当たらなかった。
それでもAは大人しく歩くだけでなく街のあちこちを観察してしまう。
すれ違う人の表情、店と客のやり取りや栄え具合、少し暗い陽の当たらない路地。
不自然にならない程度に見てしまうのは仕方のないことだろう。
隣の部下も視察だとわかっている為、あらゆる情報を脳裏に焼き付けようとしていた。
そんな仕事のことを考えつつも、鬱とシャオロンの案内には笑みをこぼさざるを得なかった。
何せ案内される所は彼らの得意分野ばかりなのだ。
鬱は服屋やアクセサリー店、カフェなど女性が好きそうな店ばかり。
シャオロンは居酒屋や雑貨店、大通りなど人が集まりそうな所が多い。
そういえばいつかの城内ツアーも本人目線での独特な解説が多かった。
かなり偏っているが、そのおかげで仕事なのに少し楽しい。
「今度は個人的にまた来よな、Aちゃん」
「はい大先生ケツシバキ決定ー」
「えっ、シャオちゃん待って！まだ口説いてへんやろ！？だからトントンには言わんでくれ！」
「えー？どうしよっかなぁ。俺監視役やしなぁ」
ニヤニヤと笑うシャオロンと焦る鬱。
相変わらずのやり取りに思わずAも苦笑してしまった。
城内に戻ってきて鬱達と別れた。
買った物を部屋へ置いて一息つく。
保護されている身分で図々しいが、それなりに収穫はあった。
部下も今頃視察の内容をまとめているだろう。
自国ではないので正式な書類を作ることはできない。
箇条書き程度に単語だけをメモに書いてまとめる。
落ち着いたところで、Aは少し城内を歩いてみることにした。
日が落ちかけて西日が眩しい廊下を一人進むと、前方にバルコニーへ出られる大きな窓を見つける。
こういう場所があるあたりはさすが城と言ったところか。
可能なら夕暮れの城下を少し見せてもらおうと近づくと、どうやら先客がいるようだった。
煙草を吸っていたらしい男は静かに窓を開けたAに気がついたのか、煙を吐いた後ゆっくりこちらを振り返る。
「……誰や？」
夕日を背に手すりにもたれかかる彼の表情は逆光であまりよく見えない。
視認できたのは光る眼鏡のフレームと風になびくストールだけだった。
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違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はろ - 初コメ失礼します。今日初めてこの小説を見つけ一気に読んでしまいました。素敵な作品をありがとうございます！ (2019年5月10日 23時) (
レス) id: 04eaede967 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - あ、あの、エーデルが死ぬと思ってなくて思わず涙が……(T ^ T)作品好きです！ま、まさかのおおおおってなっておりますっっ！ (2019年4月26日 17時) (レス) id: 0dc2b364d7 (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - フーさんさん» コメントありがとうございます。ボキャブラリー広いですか…！？まだまだ勉強不足な面もありますが、そう言っていただけて嬉しいです！ありがとうございます。続編もあるのでよかったらご覧になってみてください。 (2018年3月14日 21時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
フーさん - 主様のボキャブラリー広すぎるぅううう… (2018年3月14日 13時) (レス) id: c25a3a0724 (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - 遊馬さん» コメントありがとうございます。まだまだ拙いですが、お褒めのお言葉とても嬉しいです…！お気遣いありがとうございます。次作もどうぞよろしくお願いします。 (2017年7月7日 14時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：璃亜
| 作成日時：2017年5月24日 22時
