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ゆっくりと、諭すように。
しかし柔らかく穏やかな声でオスマンは続ける。
「Aちゃんが倒れた時ほんまにびっくりした。グルッペンも相当焦っとったな。他の皆もや。外交相手とかそういう理由ももちろんあるけど、単純にAちゃんが心配やったんよ」
『心配、ですか』
「そう。うち意外とドライなとこある奴多くてな、正直どうでもええ人なら放っとくと思う。ここまでするんは今までの君の対応とか人柄が良かったからやろうな」
にこりと微笑む。
彼の言う通りならこの状況や待遇はこれまでの外交の成果だ。
ロボロと挨拶を交わした時にも感じたが、外交官としてだけでなく人として信頼してもらえるようになったということだろう。
「他国やし、保護されてるって負い目もあるやろうし、気ィ張るのはわかるよ。けどもっと自分を大事にしてええんやで。しんどい時くらいは仕事も忘れてさ」
『…難しいことをおっしゃるのですね』
「んー、じゃあ君の納得できそうな理由に変えよか？また倒れられたら困るとか、ここで引き下がると俺が怒られるとか、朝一でぺ神に医務室連行される羽目になるとか、またグルッペンの機嫌が悪くなるかもとか？」
最後の方は茶目っ気たっぷりに言う。
代替案を次々と出してくるあたりは流石オスマンだ。
先程までの言葉も嘘とは思えないが、こういう言い方をされたらAは休むしかなくなる。
ずるい人だ。
『…わかりました。お言葉に甘えて休ませていただきます』
「うん、それがええよ。こっちもできるだけ協力するから安心してな」
『はい、ありがとうございます』
笑顔を浮かべて去ろうとしたオスマンだが、寸前で何かを思い出したように振り返った。
「あ、あと一個忠告。こんな夜にあっさり扉開けたらあかんよ。怖ーい狼さんに食われてまうかもしれんで」
おどけて言うオスマンにAが小さく笑みを浮かべた。
『まさか城内で他国の外交官相手に馬鹿な真似をするような方はお一人もいらっしゃらないでしょうが、万が一そんなことになればありとあらゆる手を使わせていただくことになるでしょうね』
「はは、ほんまに何でもしそう」
『ええ。社会的な死、及び国際問題まで発展させる所存です』
「怖っ。けどそれでこそAちゃんや」
また穏やかに微笑むと今度こそ就寝の挨拶をして去っていく。
いろいろ言われたが心配して見に来てくれたのは本当なのだろう。
改めて彼に感謝しながらAは静かに机の上のランプを消した。
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ゆう - メンバー同士の掛け合いもリアルでテンポよく、話の構成もしっかりしていてとても読み応えがあり面白いです！言葉の選び方や設定まで凄く丁寧で尊敬します。小説として面白く、それでいて『リアル』を崩す事なく描かれていて凄いと思いました。 (2019年8月4日 23時) (
レス) id: 7c238edc15 (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - もちえもんさん» コメントありがとうございます。沢山のお褒めの言葉、嬉しいです！書きやすい方と掴みきれていない方でどうしても差が出てしまうのですが、なるべくいろんな方と絡めるように頑張ります。 (2017年5月18日 2時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
もちえもん(プロフ) - 恋愛一色ではないのにこんなに好きになった小説は初めてです。メンバーと仲良くなっていく過程が早すぎず、自然で素晴らしいです！キャラが掴めていて、言葉遣いが上手で尊敬します。今後とも楽しみにしておりますm(_ _)m (2017年5月17日 23時) (レス) id: 801b233da8 (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - 那月さん» コメントありがとうございます。読みやすいですか…！ありがとうございます！話の進みは遅いですがよかったら今後とも見ていただけると嬉しいです。更新も頑張ります！ (2017年5月16日 13時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
那月 - 夢主ちゃん苦労人ですね；´｀文面もきちんとしていてとても読みやすく、面白いです…!!昔ほど酷くないですが未だにやや男尊女卑の所があるのでそこも共感して読めます。これからどのように夢主ちゃんが戦っていくのかとても気になります。更新頑張ってください(*´-`) (2017年5月16日 3時) (レス) id: 329c4228b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：璃亜
| 作成日時：2017年4月30日 2時
