【wrwrd!】とある社畜外交官の憂鬱

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食事を終えたAは借りた部屋へ戻る。
去り際口々にゆっくり休むよう言われたが、それに甘えてすぐに寝る訳にはいかない。
丁度いいタイミングで部屋を訪れた部下達を招き入れ、彼らがまとめた情報や報告を聞く。

『そう…もうそんなに侵攻してるのか』
「どうやらそのようです。やはり電撃戦だったようで…」
『でもマレーネは撤退や防衛上手いから膠着するかもね。そしたらうちに加勢依頼くるんだろうな。で、これどこで仕入れた？』
「オスマン外交官殿からです。A外交官がお休みの間いろいろと探って下さったようで」

そんな気はしていた。
話し振りからすると彼の部下も補佐官達のフォローをしてくれているらしい。
ずいぶん協力してもらっているようでありがたい限りだ。


「明日以降はどうされますか？」
『戦況見つつだけど、とりあえず私からもう一回本国へ連絡する。マレーネと組むかどうかは向こうに任せるしかないけど、意見くらいは出せるからそれを判断材料にしてもらうか。…あ、あと明日は城下を案内してもらえるかもしれないから、ついでに視察かな』
「了解です」
『…ごめんね、苦労させて。自国じゃないし気を遣うでしょ』
「そんな、むしろA外交官の方が…」
「A外交官、私達なら大丈夫です。こんな時くらいお一人で抱えずに頼って下さい」

頼もしい部下に礼と共に微笑み返し、明日に備えて解散した。
一人になった静けさと共に込み上げてくるのは感謝の気持ち。
帰れない焦りと部下の温かい言葉が疲れた身体にしみて少しだけ視界が滲んだような気がしたが、Aはすぐにそれを飲み込んで机の上に便箋を広げた。





「Aちゃん、起きとる？」

ノックと共に聞こえたのはオスマンの声だった。
すぐに返事をして扉を開けると、彼はデスクランプが点いているのが見えたのか苦笑を浮かべる。

「やっぱり仕事しとったか」
『申し訳ございません。ですが必要なことだったので』
「同じ外交官としてはわからなくはないけど、個人的にはゆっくり休んでほしいなあ。…倒れたんやで、相当しんどいはずや」
『…その際は、いえ、今もご迷惑をおかけしている自覚はあります。これ以上お手を煩わせることのないよう努めますので』

Aの言葉にオスマンは首を横に振る。
そして一度目を閉じると眉を下げて微笑んだ。


「ちゃうよ、そういうことやない。心配なんや、Aちゃんのこと。こんな状況やと尚更な」

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