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綺麗な筆跡で書かれたサインを眺める。
とりあえず第一段階は成功と言ったところだろう。
ここから信頼と友好関係を築いて徐々に大きな条約へと繋がればいい。
ひとまず今日の目標は達成した。
時間より早いが切り上げようかと考えていた矢先に、今日は比較的静かだったオスマンが動いた。
「第二外交官殿、条約も無事締結しましたし、よろしければ少し城内を見て行かれませんか？」
「…私ですか？」
「ええ。A外交官殿には今後もお会いできると思いますが、第二外交官殿は次にいついらしていただけるかわかりませんので。いかがでしょう？」
ご案内致しますよ、と笑うオスマン。
ここで仕掛けてきたか、やはりこの人が黙っている訳がなかった、というのが正直な感想である。
あからさまに切り離しにきたのは気になるが、こうなることを危惧して第二外交官を連れてきたのだ。
さらっと今後Aを担当にする物言いをされたがスルーし、こちらを伺う第二外交官に一度頷く。
「では、お言葉に甘えさせていただきます」
「はい。ではA外交官殿、しばし彼をお連れさせていただきますね。A外交官殿にはまた今度ゆっくりご案内いたしますので、どうぞ本日は外交の疲れをお癒し下さい」
『ありがとうございます、楽しみにしていますね。第二外交官、ご迷惑にならないように』
「はっ」
しっかり返事をして立ち上がる外交官。
グルッペンに対して一礼をするとオスマンの後に続いて部屋から出ていった。
後ろ姿に思わず頑張れという念を込めて見送る。
オスマン外交官殿は手強いぞ。
するとふと思いついたようにグルッペンが口を開いた。
「トントン、お前もついていってやったらどうだ」
「はい？…何言ってるんですかねぇ」
「オスマンが余計なことをしないようにしっかり見ておくべきだろう。私ならしばらくここでA外交官殿とのお茶を楽しませてもらうから心配いらんぞ」
『私がお相手させていただいてよろしいので？』
「勿論だ。チョコの説明もしてもらいたいしな」
ニヤリと笑みを浮かべるグルッペン。
理由にしては雑すぎないか？と思わない訳ではなかったが、Aも笑みを崩さずに喜んで、と答える。
トントンはしばし険しい顔をしていたがやがて諦めたのかため息と共に立ち上がった。
「…あんたこそ余計なことはしないように」
「わかっている」
Aに軽く会釈して退室していく。
間違いなく苦労人だ、と同情したAは今日初めて彼に少しだけ親近感を覚えた。
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ゆう - メンバー同士の掛け合いもリアルでテンポよく、話の構成もしっかりしていてとても読み応えがあり面白いです！言葉の選び方や設定まで凄く丁寧で尊敬します。小説として面白く、それでいて『リアル』を崩す事なく描かれていて凄いと思いました。 (2019年8月4日 23時) (
レス) id: 7c238edc15 (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - もちえもんさん» コメントありがとうございます。沢山のお褒めの言葉、嬉しいです！書きやすい方と掴みきれていない方でどうしても差が出てしまうのですが、なるべくいろんな方と絡めるように頑張ります。 (2017年5月18日 2時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
もちえもん(プロフ) - 恋愛一色ではないのにこんなに好きになった小説は初めてです。メンバーと仲良くなっていく過程が早すぎず、自然で素晴らしいです！キャラが掴めていて、言葉遣いが上手で尊敬します。今後とも楽しみにしておりますm(_ _)m (2017年5月17日 23時) (レス) id: 801b233da8 (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - 那月さん» コメントありがとうございます。読みやすいですか…！ありがとうございます！話の進みは遅いですがよかったら今後とも見ていただけると嬉しいです。更新も頑張ります！ (2017年5月16日 13時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
那月 - 夢主ちゃん苦労人ですね；´｀文面もきちんとしていてとても読みやすく、面白いです…!!昔ほど酷くないですが未だにやや男尊女卑の所があるのでそこも共感して読めます。これからどのように夢主ちゃんが戦っていくのかとても気になります。更新頑張ってください(*´-`) (2017年5月16日 3時) (レス) id: 329c4228b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：璃亜
| 作成日時：2017年4月30日 2時
