上等兵たち 5 ページ5
「A。もしお前が今、ここから逃げ出したいって言うんなら……俺が…」
菊田さんが、何かを言いかける。しかし、途中で口を噤むと、静かに首を横に振った。
「いや、何でもない。忘れろ」
菊田さんはそう言って、ポンと私の頭を撫でる。満天の星空とは対照的に、影を落とした表情が印象的で。何だか、菊田さんがどこか遠くへ行ってしまうような…そんな表情だった。
…私はこの表情を、どこかで見たことがあるような気がする。
────“A。迷ったら、………を見ろ”
「…痛ッ」
その時、突き刺すような痛みとともに、頭の中で声が響いた。
思わず手で押さえる。痛い。頭が割れるように。その声は、とても懐かしい…父の声だ。
「おいっ！大丈夫か？」
菊田さんが心配そうに覗き込む。なんとか笑顔を取り繕って、大丈夫だと伝えると、次第に頭痛は治まっていった。
「本当に大丈夫なのか？」
「はい。もう平気です」
「そうか……。無理だけはすんなよ」
「ありがとうございます」
ホッとしたような菊田さんの顔を見て、私も安堵した。
「ほら、明日に備えて早く戻るぞ」
「わかりました」
私たちは歩き出す。
大きな菊田さんの背中を見ながら、先程の父の言葉を考える。
父は、私に何かを伝えようとしてくれたのだろうか。でも、それが一体なんのことか思い出せない。
私は一体……何を忘れているんだろう。
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あも(プロフ) - 鶴見さん・・・・・・(´;ω;｀) (10月7日 1時) (
レス) @page45 id: 656bb5ebbb (このIDを非表示/違反報告)
塩わさび(プロフ) - たけのこさん» コメントありがとうこざいます。温かいお言葉をが身にしみます😭💦💕 (10月6日 20時) (レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
塩わさび(プロフ) - あもさん» 元々の原因はウイルクなのに、アシㇼパ責めるのは間違っているとはみんなわかっているんですが、人間なので誰かに責任をなすりつけて、きつく当たっちゃうんでしょうね……。 (10月6日 20時) (レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
たけのこ(プロフ) - とても面白かったです！更新ゆっくりで大丈夫です！待ってます☺️ (10月2日 17時) (レス) id: 637f77ba76 (このIDを非表示/違反報告)
あも(プロフ) - この回は、何度読んでも辛い・・・。私鶴見さんも大好きなので、彼の苦しみ悲しみ憎しみがすごく伝わってきて、辛くて悲しいです。アシリパさんは悪くないのに、元凶であるウイルクさんの娘である彼女を責めてしまいそうになる。感情がぐちゃぐちゃになります(´;ω;｀) (9月25日 9時) (レス) @page40 id: 656bb5ebbb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：塩わさび | 作成日時：2023年8月10日 23時
