迷ったら ページ27
「っ…い……た……」
ドスンっと大きくな音を立てて、私は地面に仰向けに倒れた。
頭が、酷く痛い。私は、霞む視界でぼんやりと上を見上げると、そこには満天の星空が広がっていた。
「……星…」
────“A”
私の名前を、誰かが呼んでいる。とても懐かしくて、優しい声。
なにか、とても大切なことを忘れているような気がする。ずっとずっと昔。誰かと、なにかを約束したような。
「ッ……」
頭に走る痛みに、思わず呻き声をあげる。
早く、合流地点に向かわなければ。
私は、必死にもがきながら、なんとか身体を起こす。そして立ち上がろうと震える足に力をいれた、その時。
「Aッ！！」
誰かに、名前を呼ばれたような気がした。私は咄嗟に顔を上げる。そこには、馬に乗った鯉登少尉がいた。彼は、慌てた様子でこちらに駆けてくる。
「鯉登、少尉……」
鯉登少尉の名前を呼ぶと、彼は泣きそうな顔で私を見た後、ぎゅっと私を抱きしめた。その温もりに安心してしまいそうになって、「放してください」と、私は彼を押し退ける。
「A、怪我をしているのか」
「……大丈夫ですから」
鯉登少尉は、なおも心配そうな表情を浮かべながら、私を見つめる。
「そんな怪我で大丈夫な訳があるかッ！！見せてみろ、私が今止血を……」
彼は私の傷の様子を確認しようと、手を伸ばそうとした。
「っ……やめて！！」
私は、思わずその手を払い除けてしまった。鯉登少尉は、驚いたような表情を浮かべた後、傷付いたように顔を歪めた。
彼のその表情に、ズキンと胸が痛む。私は、そんな自分に気づかないフリをして、「本当に大丈夫ですから」ともう一度言った。
「…A。お前は一体、何をしようとしているんだ」
「……」
「樺太で別れてから…お前の様子は、おかしい」
「……」
私は何と答えたらいいのか分からず、黙り込む。
……これ以上、詮索しないでほしい。
これ以上、私に関わらないでほしい。
これ以上、彼と一緒にいると…私の見せたくない、醜い部分が、全部バレてしまいそうで嫌だった。
「鯉登少尉殿には…関係ありませんよ」
「関係なくないッ！」
「ッ」
突然、彼が大きな声を上げたことに驚いて、私は思わず彼の顔を見た。彼は怒っているような、悲しんでいるような、そんな表情で私を見ていた。
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あも(プロフ) - 鶴見さん・・・・・・(´;ω;｀) (10月7日 1時) (
レス) @page45 id: 656bb5ebbb (このIDを非表示/違反報告)
塩わさび(プロフ) - たけのこさん» コメントありがとうこざいます。温かいお言葉をが身にしみます😭💦💕 (10月6日 20時) (レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
塩わさび(プロフ) - あもさん» 元々の原因はウイルクなのに、アシㇼパ責めるのは間違っているとはみんなわかっているんですが、人間なので誰かに責任をなすりつけて、きつく当たっちゃうんでしょうね……。 (10月6日 20時) (レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
たけのこ(プロフ) - とても面白かったです！更新ゆっくりで大丈夫です！待ってます☺️ (10月2日 17時) (レス) id: 637f77ba76 (このIDを非表示/違反報告)
あも(プロフ) - この回は、何度読んでも辛い・・・。私鶴見さんも大好きなので、彼の苦しみ悲しみ憎しみがすごく伝わってきて、辛くて悲しいです。アシリパさんは悪くないのに、元凶であるウイルクさんの娘である彼女を責めてしまいそうになる。感情がぐちゃぐちゃになります(´;ω;｀) (9月25日 9時) (レス) @page40 id: 656bb5ebbb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：塩わさび | 作成日時：2023年8月10日 23時
