札幌ビール工場 ページ14
そして、夜中。
私と宇佐美上等兵は、ひと足先に札幌麦酒工場へと来ていた。
本当は、私も時計台のほうへ行って、鯉登少尉に会いたかったのだが、宇佐美上等兵に「僕一人で散策させる気？」と脅されてしまい、渋々同行することとなった。
工場の敷地内は静まり返っていて、人の気配はない。
「…誰もいないみたいですね」
「そうだね。とりあえず、僕はあっちの方に行くから、お前はそっちに行って」
「はい」
宇佐美上等兵の言う通りに、私は反対側へと向かう。夜空にはぽつんと月が浮かんでいて、辺りを照らしている。札幌麦酒工場の敷地内は広いようで、端から端まではそこそこの距離がある。
暗がりの中、なんとか壁伝いに進むと、進行方向とは逆の場所で、何かがキラリと光ったような気がした。その直後、ドォンという大きな音が響き、遅れてパラパラという音も聞こえてくる。
「っなに…？！花火……！？」
音のした方を見ると、そこには大きな花火が一発、打ち上げられている。
こんなところで祭り…？だが、そんな情報は聞いていなかった。
一体どうして、と考えたところで続いて2発目があげられる。
誰かが来ているのだろうかと思ったその時、ふと、背後から誰かの気配を感じて咄嗟に持っていた三八式歩兵銃で殴りかかる。
だが、相手はひらりとそれをかわすと、銃口を掴んだ。そしてあいている片手で私を殴ろうとしてくる。
「っ……！」
咄嗟に足を高くあげ、相手の顎に蹴りを入れると、相手が怯んだ隙に距離をとる。銃は取り上げられてしまい、遠くへと飛ばされてしまった。
「……やるなぁ、アンタ。でも何だか、動きが男にしては変だな」
暗闇の中で目が慣れてきたせいか、少しずつ相手の姿が確認出来るようになる。そこに立っていたのは、髪が地面につくぐらいに長く、大柄で体格の良い男だった。男は顎に手をあて、首を傾げながら私を見つめながら何かを考えている。
「その体つきや身長からみて…女か？」
「……」
「杉元たちが話してたのを聞いたことがあるんだ。第七師団の中に、女がいるって」
杉元さんの名に、私はぴくりと反応する。彼を知っている…ということは、杉元さんたちの仲間なのか。
お互いに睨み合っていると、不意に男がニヤッとした笑みを浮かべた。
「俺はアンタみたいなの好みだぜ」
「なにいって……っ！？」
突然のことに驚いていると、彼は一気に距離を詰めてきた。咄嗟に腰に差していた銃剣を構えて応戦する。
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あも(プロフ) - 鶴見さん・・・・・・(´;ω;｀) (10月7日 1時) (
レス) @page45 id: 656bb5ebbb (このIDを非表示/違反報告)
塩わさび(プロフ) - たけのこさん» コメントありがとうこざいます。温かいお言葉をが身にしみます😭💦💕 (10月6日 20時) (レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
塩わさび(プロフ) - あもさん» 元々の原因はウイルクなのに、アシㇼパ責めるのは間違っているとはみんなわかっているんですが、人間なので誰かに責任をなすりつけて、きつく当たっちゃうんでしょうね……。 (10月6日 20時) (レス) id: bea5a70fe9 (このIDを非表示/違反報告)
たけのこ(プロフ) - とても面白かったです！更新ゆっくりで大丈夫です！待ってます☺️ (10月2日 17時) (レス) id: 637f77ba76 (このIDを非表示/違反報告)
あも(プロフ) - この回は、何度読んでも辛い・・・。私鶴見さんも大好きなので、彼の苦しみ悲しみ憎しみがすごく伝わってきて、辛くて悲しいです。アシリパさんは悪くないのに、元凶であるウイルクさんの娘である彼女を責めてしまいそうになる。感情がぐちゃぐちゃになります(´;ω;｀) (9月25日 9時) (レス) @page40 id: 656bb5ebbb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：塩わさび | 作成日時：2023年8月10日 23時
