元帥の手袋が44枚 ページ46
「ァアアアアアアアアア!?」
男は肩を撃たれ、思わずのたうち回った。
「(なんて殺気・・・!!)」
ベルモットは刺すような殺気を感じ、内心で毒づきながらも再び身を隠した。
「・・・うちの子に、何をしているのかしら。」
底冷えするような声で現れたのは、絶世の美女。秘密機関に所属していながら戦場に身を置いていた百戦錬磨な彼女の顔には、なんの感情も浮かんでいなかった。
桧夏穂はかつてないほどにキレていた。
銃声に駆け付ければ、地面に伏せたまま、ピクリとも動かない次男。そして、全身傷だらけで、謎の男に馬乗りにされ、頬を殴りつけられている長男。
夏穂はもはや、情報確認やらなにやら、そんなものは微塵も頭に残っていなかった。
ハワイにいるときに限り、夫から護身用にと持たされているコルトディフェンダーを抜き、辛うじて残る理性で男の脳天をよけ、肩をぶち抜く。
痛みに呻く男を感情のこもらない瞳で見下ろす。背後の長男が気を失っているのを確認し、そしてその腹部と顔を見て、再び殺気を膨らませた。
男の傷口をヒールで踏み潰し、顔を蹴り飛ばす。十分に吹っ飛んだことを確認すると、夏穂はAを抱き上げ、匡のそばへ、二人並んで寝かせると、ポケットから携帯電話を取り出し、愛する人に電話をかけた。
『もしもし?』
「・・・私よ。」
『・・・なにがあった。』
「・・・クソったれが現れたわ。Aと匡がやられた。」
『・・・現場は。』
冷たい声で男を見下ろしながら話す夏穂は、電話越しの夫の声が冷え込むのを感じた。
「例の遊園地。・・・始末してもいいかしら?」
『待て。今から私が向かおう。』
「チッ・・・。わかったわ。」
『・・・・・・殺すことは許容できない。が、”殺しさえしなければ何をしてもいいぞ”。』
「フフッ・・・。了解。待ってるわ。」
甘い声で笑い、夏穂は電話を切った。
「・・・さて。」
くるりを振り返ると、そこに、優しい母親はいなかった。
「この落とし前は、どうつけてもらおうかしら。」
ただ、子を傷つけられた、修羅がいるのみ。
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にゃあ - 我、安赤派也。 (2020年8月4日 17時) (レス) id: 91b3f57d74 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずアイス - 私は赤安赤が好きかな...とくに右固定とかなくキャラを重要視するタイプw (2020年4月29日 0時) (レス) id: 5775b0dae5 (このIDを非表示/違反報告)
上級国民(笑)(プロフ) - あぁ、ワイも安赤派ですわ...。 (2020年4月18日 16時) (レス) id: ac87fab8f9 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫(クロネコ)(プロフ) - マイナー好きが多くなればそれはマイナーではなくなるのだ!!!! (2020年3月29日 12時) (レス) id: e1f55013ea (このIDを非表示/違反報告)
無月 - ベルク元帥閣下、、、? (2018年9月24日 14時) (レス) id: e6b756c8a8 (このIDを非表示/違反報告)
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