一緒に ーオニュ saideー ３ ページ15
僕が調べたのは、郊外にある産科専門の病院。
男の僕には無縁のものだったが、先輩芸能人の御用達の病院だ。
Aヌナが受診室に入って、数十分。
なかなか出てこないから本当に心配になった。
やっと出てきたヌナはに笑顔がない。
ON「ヌナ、どうでしたか？」
『20週だって。
予定日は来年の２月。
・・・・会社に報告しなきゃ。』
おめでとうと言うよりも早く、Aヌナ自身が困惑している。
嬉しくないのだろうか？
ON「わかりました。
じゃあ、このあと事務所に向かいましょう。」
会計を済ませたAヌナを乗せ、来た道を戻っていく。
車に乗ってから、一言も話さず、ずっと窓の外を見ているヌナが心配だった。
ON「ヌナ、何考えてるんですか？」
Aヌナは小さく呟く。
『ん？……産んでも良いのかなって。』
そんなこと・・・・いいのかなって。
ON「当たり前じゃないですか？
良いに決まっているでしょう。
産まないんですか？」
『そうじゃなくって、私とジョンスの結婚、まだ世間には秘密でしょ。
だから子供が生まれることで、ばれちゃわないかとか、事務所的にダメかなって』
ヌナはなんで人のことばかり考えてるんだ！
自分のことをもっと考えて欲しい。
Aヌナが一番大事な人が聞いたらきっと悲しむ。
On「そんな事！そんな事考えてたんですか。
僕なら絶対産んで欲しいです。
仕事なんか関係無い。
最悪、辞めたって良いんですから。」
思わず、興奮してしまった。僕のことじゃないのに。
そんな僕の態度がおかしかったのか、さっきまで笑顔の消えたいた顔に、笑みが戻っていた。
『ふふ、オニュの子供じゃ無いのに。
そんな考えなくても。』
確かにそうなんだけど「でも……」
『多分、ジョンスも同じように言ってくれると思う。
会社も。・・・私が迷惑になりたくないの、足かせになりたくないの。』
Aヌナの気持ちを聞きながら、車は会社の地下駐車場に入っていった。
車を降りながら
『オニュ、今日はありがとう。』
ON「ヌナ、大丈夫ですか？ひとりで」
『うん、大丈夫！
また明日宿舎に行くね。』
そう、いつもこうだ。
また強がっている言葉を残して、僕から離れていくんだ。
エレベーターに向かうAヌナの後ろ姿を僕は静かにじっと見つめていた。
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作者名：eddy | 作成日時：2015年1月30日 12時
