桜の涙 10 (潤) ページ25
翔Side
翔「麻酔するときは細い針を使うから。少しチクって痛いけど、じっとしていられる？」
潤「…んっ」
翔「ん。何か我慢出来ないことがあったら俺に教えて？急に動くと危ないから。ね」
心の準備が整ったことを針を構える医師に目で合図して、潤を抱える腕に少し力をこめる。
皮膚の表面を麻酔しようと浅く針が刺さった瞬間、ピクッと動いた潤の体位がズレてしまわないよう、身体を支え続けた。
翔「ほら、もう痛くないんじゃない？もうすぐ麻酔終わるから。
しばらくこの体勢で頑張れそう？」
じっとしていろ！だなんて…そんなの酷だと思っている。
見えないところで麻酔をされて、背中に長い針をズブズブ刺されて…
もしかしたら注射の痛みも気にしてはいられないほど、今は頭痛と吐き気のほうが辛いかもしれないけど…
だとしても恐怖心はあるはずなんだ。
こういう時、潤は頑張りすぎてしまうから。
表情の変化一つも見逃さないようにしてやりたい。
潤「…っく…うっ！」
翔「痛かった？ちょっと押される感じがしたかな」
潤「…っ…んっ」
翔「うん。今少しずつ針を進めているところだからね。
脚がピリピリする感じはしない？大丈夫か？」
常にシワの寄っている眉間により強く力が入ったのが見えて、声をかけながら潤の隠す言葉を探していく。
呼吸の状態も確認しながら、少しでも安心してもらえるように検査の進み具合を細かく伝えていった。
翔「ちょっと力を抜いてごらん？そうそう。
もう針は入れ終わったからな、上手くいってるよ。吐き気は大丈夫？」
内筒を引き抜く医師の手元に視線を向けると、濁りのない無色透明の液体が流れ出てくるのが見えた。
挿入された針は、髄液が採取できる位置にまで到達したようだ。
潤「…っ…うっ…うぅっ！」
ここまでかなり順調…だけど、さすがにそろそろ限界か。
低い声が漏れ始め、強く閉じた目の端には小さな水滴…
刺した針からポタポタと垂れてくる髄液がスピッツに溜まっていくのを待つ間、震える膝の裏に腕を入れて抱えてやりながら後頭部を手のひら全体で包み込んだ。
翔「…頑張りやさんだ…えらいな」
俺だったら暴れまわっていたんじゃないかってくらいの苦痛の中、ぎゅっと口を閉じて微動だにせず、ただただ耐え続ける潤に自然とそんな声がでてしまう。
余計な刺激にならないよう手は頭にそっと添えたまま…
身体の熱を感じながら、髪の表面を撫でるように親指だけをゆっくりと動かした。
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ちさ(プロフ) - 琴子さん» こんばんは琴子さん♪ いえいえ！お忙しいなか温かいコメントを、本当にいつもありがとうございます。夏のような暑さになったかと思えばここ数日は冷たい雨…体がおかしくなってしまいそうです。今回から新Partに移行しましたので、あちらでもよろしくお願いいたします (2019年6月8日 23時) (
レス) id: 2f0afe0567 (このIDを非表示/違反報告)
琴子(プロフ) - 朝早くにすみません。ご無沙汰しています。メッセージ最近は特に送れずすみません…m(_ _)m 雨の季節になりましたね。今夜の更新を楽しみにしています♪♪♪ (2019年6月8日 7時) (レス) id: cc1132a1bd (このIDを非表示/違反報告)
ちさ(プロフ) - 翔さんさん» こんばんは、翔さんさん。今回は小児科医和先生の温かさが出せたら良いなと思って書いていましたので、そのように言っていただけてとても嬉しいです。最後まで読んでいただきありがとうございました！ (2019年5月4日 21時) (レス) id: 2029d5744d (このIDを非表示/違反報告)
翔さん - 和にぃの優しさが伝わってきました＾＾令和最初に良い話が読めました！ (2019年5月3日 8時) (レス) id: 4771dff308 (このIDを非表示/違反報告)
ちさ(プロフ) - rabbitさん» こんばんは、rabbitさん。やっとですね〜。一度甘えられれば、この後はずーっと和にぃにベッタリだと思います(笑) ニマニマして読んだ、は最高の褒め言葉です、ありがとうございます！次回もまた楽しんでいただけたら嬉しいです (2019年5月2日 19時) (レス) id: 2029d5744d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちさ
| 作成日時：2019年2月10日 22時
