再来… 16 (和) ページ12
翔Side
翔「赤ちゃん、大丈夫だった？」
薄く電気をつけ、ベッドに近づきながら話しかける。
やっぱり何の返しもない和に、大きく息を吐きだしてからとある一言を投げかけた。
翔「かず…もういいから…
一人で抱え込まなくていいよ」
布団の中の身体がビクっと動いたのは、俺がある人の名前を口にしたから。
何も関係がなければ、絶対にこんな反応をしたりしない。
やっぱりそうだったのか…
ふつふつと湧き上がってくる怒りを必死で抑え込みながら、冷静になろうと一呼吸おく。
翔「…何を言われた？
…脅された？患者を返せって」
一体いつから付きまとわれていたんだ…
旧友が帰ってきていたということも、俺らを心配させないための嘘だったんじゃないか…
となれば、あの泥酔して帰ってきた日も、実際に会っていたのは…
悔しくて、信じたくなくて、なにより腹立たしくて、自分の感情をおさめることに精一杯。
何度も深呼吸を繰り返しながら、爪が食い込む手のひらの痛みで気を紛らわした。
よく考えてみれば、あの時と同じなんだ…
無理して笑って、酒で苦痛を散らして、一人で背負い込んで…
似た者同士なんだから…その時点で気づくべきだった。
こんな事態になっていれば、体調が戻らなくて当然だ。
翔「呼び出されたの？
あの日も、今日も、行くしかなかったんだよな？」
和「…でっ」
翔「かず…あの人は…」
和「…なんっ、でっ」
こうなったらもう、包み隠さず話してやらなければならない。
まずは全てを伝えなければと布団をそっと剥ぐと、和は唇をぎゅっと結びながら震えていた。
どうして俺が知っているかって…？
前にも同じことがあったんだよ。
智にぃも和と同様に脅されて、苦しんで、それでもなんとか解決したはずだった。
やり口は今回も変わっていないはず。
二人きりの空間で、じわじわと追い込んでいって、人質を取って逃げ場をなくす。
攻め方が上手いんだ。
俺らのどこが弱点なのかをよくわかっている。
だから、きっと和も…大切な人を守るために戦っていたはずだ。
翔「根も葉もない噂を持ち出して脅すのは、あの人の常套手段だよ。
きっと全部デタラメでっ」
「どういうこと？」
俺の言葉を遮るように、低い声が飛んでくる。
翔「…さと…にぃ…」
困惑とも怒りとも取れるその響きに、俺の心臓は止まってしまいそうだった。
(※このお話はPart20『隠されたカンパイ』Part21『思い合う 支え合う』の続編です)
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ちさ(プロフ) - 琴子さん» こんばんは琴子さん♪ いえいえ！お忙しいなか温かいコメントを、本当にいつもありがとうございます。夏のような暑さになったかと思えばここ数日は冷たい雨…体がおかしくなってしまいそうです。今回から新Partに移行しましたので、あちらでもよろしくお願いいたします (2019年6月8日 23時) (
レス) id: 2f0afe0567 (このIDを非表示/違反報告)
琴子(プロフ) - 朝早くにすみません。ご無沙汰しています。メッセージ最近は特に送れずすみません…m(_ _)m 雨の季節になりましたね。今夜の更新を楽しみにしています♪♪♪ (2019年6月8日 7時) (レス) id: cc1132a1bd (このIDを非表示/違反報告)
ちさ(プロフ) - 翔さんさん» こんばんは、翔さんさん。今回は小児科医和先生の温かさが出せたら良いなと思って書いていましたので、そのように言っていただけてとても嬉しいです。最後まで読んでいただきありがとうございました！ (2019年5月4日 21時) (レス) id: 2029d5744d (このIDを非表示/違反報告)
翔さん - 和にぃの優しさが伝わってきました＾＾令和最初に良い話が読めました！ (2019年5月3日 8時) (レス) id: 4771dff308 (このIDを非表示/違反報告)
ちさ(プロフ) - rabbitさん» こんばんは、rabbitさん。やっとですね〜。一度甘えられれば、この後はずーっと和にぃにベッタリだと思います(笑) ニマニマして読んだ、は最高の褒め言葉です、ありがとうございます！次回もまた楽しんでいただけたら嬉しいです (2019年5月2日 19時) (レス) id: 2029d5744d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちさ
| 作成日時：2019年2月10日 22時
