私は美食家にまとわりつかれてます。取り敢えず助けろ【月山習】

#7 自分好きすぎ問題 ページ9

月山に喰われそうになってから数日が経った

あんな事があったのに何事も無かったかのように過ぎる日々に違和感すら感じる

･･････なんてことはなく、あの日以来ちえと話していると気付けば月山くんが会話に入ってきていることが多くなった

ちえに興味があるのか私を食べようとしているのか理由はわからないけど、私としては近くにいないでほしい

月山くん自体が苦手ってのもあるけど、それ以上に女子の目が怖くて、ね






｢あ、そうだ。いいもの撮れたんだけどさ、見てくれないかな?月山くんなんだけど｣



お昼休み、人気の少ない校舎裏で2人でご飯を食べている

ちえは写真に夢中になってるし、お昼食べてるのは私だけなんだけど

そんなことよりまた月山くんか



｢最近月山くんばっかり撮ってるけどさ、あの人撮って楽しい？｣

｢月山くんは私のモデルだからね。面白いから撮ってる。あ、コレコレ｣



そう言ってちえが差し出してきたカメラの画面を見ると、紫色の月光を放つ月と紫掛かった雲･･･白い建物の窓に月山くん

幻想的な写真に息を飲んだ



｢･･･綺麗じゃん、コレどうしたの？｣

｢この間月山くんに病院から落とされてさ。綺麗だったから撮ったんだ。うん、いい写真が撮れたね｣

｢･･･は？｣



落とされ･･･た？

月山くん、私の親友に何してんの

ふつふつと湧く怒り

しかし隣のちえが楽しそうに話すから怒るに怒りきれない、やるせない気分だ



｢月山くん、私が落ちた後に自分も窓から飛び降りて助けてくれたんだよね｣

｢へ、へぇ？･･･それにしても綺麗｣

｢何が綺麗なんだい？｣

｢ん？この写真綺麗だなって･･･って、うわっ！！｣



横を見ると月山くんの顔が間近にあって跳ねた反動で椅子から転げ落ちた

あまりにも自然に会話に入ってくるものだから全く気付かなかった

･･･地面に打ったおしりが痛い



｢大丈夫かい？陽海さん｣

｢一体誰のせいだと･･･｣

｢フゥン？｣


月山くんが地面に座り込んでいる私に手を差し出して引き上げてくれた



｢月山くん。見てこの写真｣

｢フム？これは･･･美しい！！！｣



ちえがカメラの画面を月山くんに見せると、いきなりカメラを持ち上げ流石僕と騒ぎだす

･･･動きがうるさい



｢この間月山くんに落とされた時に撮ったやつ｣

｢素晴らしい！！1枚くれまいか？！｣



そんなに自分の写真が欲しいか

自分好きすぎにも程がある

続く お気に入り登録で更新チェックしよう!

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