【歌えない天使】《死神視点》4 ページ30
確かに盗み聞きはよくねぇけど、そんな顔するまでか?
それに歌えないってなんだ?
さっきまで歌ってただろ
13「歌えないってどうしたんだ?なんか理由あんだろ」
「・・・歌うの、苦手なんです。だから、こうやって毎日・・・練習を」
一瞬戸惑ったAは俯いてそう言った
歌うのが苦手ね〜
人間には歌が上手い下手なんてどうでもいいことだが、天使は違う
何もかもが完璧でなくてはならない
コイツの歌声は天界のヤツらにはきっと出来損ないだと思われる範囲に入るだろ
もしかするとコイツは自分でこの世界に残ることを決めたのかもしれない
天界に戻るよりここに居た方が好きにできるしな
でもこの世界に残った後も歌の練習を続けるってのが俺様にはよくわからない
咎めるヤツは居ないのにどうして練習なんてし続ける?
ここに居るならこのままでもいいだろ
13「なるほどなー。でも練習する程下手か?俺様好きだぜ、お前の歌声」
「えっ?」
俺がそう言うとAはきょとんと言う顔をした
13「別にいいんじゃねーの?好きに歌えば」
「・・・それじゃあダメなんです。天使は、完璧じゃないと」
13「知ってる。ダリぃよなー。好きにさせろってな」
俺も散々怒られた
特にファースト
模範にならなくてはいけないだのなんだのって・・・
あぁ、思い出したくないものまで思い出しちまいそうだ
「・・・あの、貴方はいったいナニモn「なぁ、もう1回歌ってみろよ」はい?」
嫌な予感がしたからもう1度歌うように促す
Aは俺が堕天した天使の成れの果てだって知ったらどう思うだろうな
自分もこうなるかもしれないって焦るか?
コイツはまだ天使だ
堕天の先なんて知らない方がいい
俺様は自分で堕天することを決めたが・・・コイツにはこうはなってほしくない
13「俺様もう1回聴きたい」
「人に聴かせられるようなものでは・・・」
13「言っただろ、俺様はお前の歌声が好きだって。な?」
そう押すとAは口ごもる
人に聴かせるのが嫌なのか俯いてしまった
それからしばらくすると顔を上げて口を開いた
「っ・・・〜〜〜♪」
恐る恐る歌いはじめると、途中チラチラとこちらを心配そうにみる
そんなに心配しなくてもちゃんと歌えてるのにな
可愛いヤツ、なんて思ったり
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作者名:チェシャ | 作者ホームページ:https://twitter.com/Cheshire0811/likes
作成日時:2022年9月16日 17時