死神さんの気まぐれ短編集【２】 (ページ20)

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【歌えない天使】２ページ20

次に目を開けた場所は見たことのない場所だった

先程まで湖に居たはずなのに水一滴見つからない

どうやら建物の中に居るみたいだ

戸惑いつつもあたりを見回しながら足を進める

？｢ヨウコソ #コンパスへ｣

｢きゃっ！｣

いきなり出てきた見たことのない生き物(？)を前に思わず悲鳴が出る

？｢オドロカセテシマッタミタイデスネスミマセン｣

｢い、いえ･･･｣

Voi｢ワタシハVoidoll コノコンパスヲカンリシテイル AIロボットデス｣

｢ろぼ、っと･･･こん･･･ぱす？｣

聴き慣れない単語が並び戸惑う

Voi｢アナタニハココデヒーローニナッテイタダキマス｣

｢ヒーロー･･･？｣

ヒーローという単語は昔に聞いたことがある

世界を守る皆から愛されるかっこいい人のことだ

しかし自分はその存在からかけ離れている

出来損ないの私にヒーローなんて無理だ

｢私にはできません、そんなヒーローなんて｣

Voi｢ヒーローハダレデモナレマスサアツイテキテクダサイ Aサン｣

｢え、なんで私の名前･･･｣

言った覚えのない私の名前を目の前のロボットが発した

困惑している私を置いてVoidollはスイーっと進んでいく

頭が混乱して仕方ないがいつまでもここにいるわけにもいかないのでついていくことにした

Voidollについていくと、だんだん騒がしい声が聞こえはじめた

大勢の声は苦手だ

また罵詈雑言を浴びせられるのだろうか

だったら１人であの湖に居た方が楽だ

体が強張る私には目も向けずVoidollは大きい扉の中へ入っていく

どうやら目的地に着いたようだ

たくさんの声はこの部屋から聞こえているらしい

入るか入らないか迷っているとVoidollがひょこっと顔を出す

Voi｢ナゼツッタッテイルノデス？ダイジョウブデスココニハアナタヲトオザケルモノハイッサイアリマセン｣

そういうと再び中へ入っていった

“遠ざけるものは無い”

その言葉になぜか温かみを感じ私の足は自然と扉の方へ進む