お出掛けチケット ページ4
｢こーまえーだくん！
名字A！狛枝くんの午後の予定を予約したいと思います！｣
｢…ボクの半径5m以内に近付かないでくれない？｣
｢わぁ酷いよ狛枝くん！でもそんな所も大好きだよ！｣
｢五月蝿い。｣
また懲りずにボクに話し掛けてくる彼女。
もういい加減うんざりだよ。
｢も、もしかして…予定、あった？｣
｢あは、ボクみたいなクズが、超高校級の皆と予定を作るなんて図々しいにも程があるよ！｣
｢狛枝くんはクズなんかじゃないよ！
少なくとも私はそう思ってる！｣
そう言ってボクの方へと近付き手に何かを押し付けてくる彼女。
それを反射的に受け取ってしまう。
…これ、
｢はい、受取りましたね、受け取っちゃったね！！｣
お出掛けチケット。
これはそういう名前らしい。
ウサミが出す目標を達成すると一定数配られるこれ。
ウサミによるとこれを使って、みなさんらーぶらーぶしてくだちゃいね！との事だ。
｢…あのさ、これ本人が同意しないと出掛けれないんじゃないの？｣
｢え、同意してくれないの？｣
本当に頭大丈夫なのかなこの子。
わざわざ嫌いと口に出しているのにそれでも誘ってくるなんて。
｢…ほんっとうに、キミって馬鹿だよね。｣
｢えへへ、狛枝くんに馬鹿って言われちゃった！｣
｢…なに喜んでるの、褒めてないんだけど。｣
気持ち悪いと付け足すと彼女はまた嬉しそうに笑った。
｢とにかく、ボクはキミなんかと出掛けるのだけは絶対に嫌だからね。｣
｢…どうしても？｣
｢何わかりきった事聞いてるの。｣
冷たく返すと彼女はわかったと答えた。
｢日向くん、予定空いてるかな…。
彼結構モテるし……。｣
｢…返して。｣
｢えっ！？｣
ボクはさっき彼女に返したばかりのお出掛けチケットを無理矢理奪い取り彼女の手を引いた。
｢こ、ここ、ここここ狛枝くん！？｣
｢気が変わったの。その代わり、場所はボクに選ばせてよね、名字さん。｣
｢……！うん！！｣
名字さんは満面の笑みを浮かべ、
ボクに手をひかれるまま歩いた。
あぁ、その笑顔が見たかったんだ。
続く
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作者名：林檎 | 作成日時：2016年9月4日 23時
