【実ｼ兄者】【ky】触覚は生きている (ページ8)

今日:8 hit、昨日:0 hit、合計:15,753 hit

手と心ページ8

枕が、濡れてる。目が、腫れてる。

昨日は普通に寝たのに。モンブラン食べて、本読んで、寝たのに。

彼より後に教室に行くと、席に座るのが怖くなりそうで、早めに家を出た。

「おはよう」

机をバンっと叩かれて、かけられた暖かい言葉。信じていいのか曖昧な光に、しがみついてしまった。

『…おはよう！』

沈黙が流れる。人の増えてきた教室のガヤガヤ、すぐ後ろの席の二人の話し声まで遠く感じた。

昨日と同じことを繰り返したくない。
清川君は、驚いているのか、困っているのか＿＿

喜んでくれてたら、いいのに。

『…ごめんね』

本当に。何を言ったらいいのかわからずに謝るような私で、ごめんね。

「…違うよ、怒ってないんだよ」

あぁ、昨日と一緒。駄目だ、私。
本当に、好きになったのかな。悪い人じゃないのかな。

でも、おはようって言ってくれて、心から喜べた。

ありがとう。

私の手が、暖かい彼の手に包まれた。

やっぱり、彼の手は嘘をついてない。

**********
hit数100！まだまだ頑張ります！評価・感想・お気に入りよろしくお願いします！