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声と涙 ページ6
「Aさんと仲良くなりたいなぁ…って」
信じるな。信じちゃだめだ。信じたら、もうおしまいだ。
でも、彼が嘘をついている気が、しない。
顔をあげた。やっぱり彼の顔は見えない。
周りの友達が、イケメンだと、カッコいいと騒ぐ彼の顔が、わからない。
怖くて上目遣いになる。またぶりっ子と言われる、うざいと言われる。
「…ごめん」
謝らないで、私が悪い。私があなたの優しい声を、言葉を信じられないのが悪い。
そんな悲しそうに謝らないで。
涙がぽろぽろと溢れるから、下をむいた。
机に涙が落ちて、水溜まりになる。
『ぁ…ぁゃ…』
涙が混じって、言えない。ごめんなさい、私が悪いのに、悲しくさせちゃって。
悔しくて、どうにもならなくて、椅子から立ち上がった。誰の目も見ずに教室から逃げた。
あーあ、嫌われた。
今ので完全に。明日からはもう、彼からの「おはよう」はないだろう。
「北川さーん！！どこいくのー！！」
誰かクラスメートに呼ばれた。私は気にせずトイレに駆け込んだ。
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作者名：えだまめだま | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/edamannf1
作成日時：2019年1月12日 21時
