【実ｼ兄者】【ky】触覚は生きている (ページ36)

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その先ページ36

-kiyo-

「ねぇねぇ」

2月、ヒラが俺に聞いてきた。

「Aちゃんとは、どこまでいったの？」

どこまで。手を繋いで、あーんして、キスはまだで、添い寝もまだで、その先は＿＿

その先までいけるかが、不安だった。

俺は経験もあるけど、Aは俺と、どうだろう。やっぱり過去のトラウマがあるから難しいんだろうか。

したくないと言えば嘘になる。好きな子と愛を確かめ合いたい。お互いの体温を感じながら眠りたい。

けど、Aがしたくないと言うのなら、無理にしようとは言わない。どっちにしろ、Aがどう思うのかがわからないと何もできない。

「キスはまだなんだね」

「まぁな…Aがどう思うかだからな」

「ゆっくりでいいと思うよ」

優しく言われた。大丈夫、ゆっくりで。一緒に居られるだけで幸せ。

今日、Aを家に呼んだ。夜、パジャマに着替えた俺とAは、お互いに緊張していた。

「そんな緊張しなくていいぞ、今日は俺しか居ないから」

とは言え、俺自身も緊張しまくっているのだが。うん、と頷いたAは、遠慮がちに「キヨくん」と呼んだ。

「ん？」

「私、キヨくんと…一緒に寝てみたい…」

「…えっ？」

びっくりして、間抜けな声が出た。一緒に寝る…って、添い寝する…？

「い、いいの？」

「うん…キヨくんなら、怖くない気がする」

少し上目遣いで、「いい？」と聞くAが可愛くて、危うく押し倒しそうになった。

「う、うん…じゃぁ俺のベッドで寝るか」

なんとか理性を保ちながら、夜になった。