【実ｼ兄者】【ky】触覚は生きている (ページ27)

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カメレオンページ27

-hira-

早すぎる、展開が早すぎて、ついていけない。

何故俺は、フジの提案に乗ってしまったのだろう。友達なんか裏切って、北川さん…Aさんを手に入れることだってできたのに。

フジが悩んでいたから、こーすけも協力すると言っていたから。ちょっと弱っている隙に、キヨに取られてしまった。

俺がこーすけに恋愛相談をしたとき、「応援する、頑張れ」と言ってくれた。

それなのに、フジが相談したら「協力するよ」と言って作戦まで練り出した。

「ヒラ、ごめん」

こーすけの謝罪は、俺の耳には届かない。

「これが、本望だったんでしょ」

「ごめんって、ヒラが北川のこと好きなの知ってたのに、力になれなくて…」

幼馴染みが、大親友が本気で謝っていても、こっちは本気で怒っているのだ。

「キヨもフジもこーすけもAさんも、これで幸せでしょ」

静かに席を立った。キヨとAさんがきつく抱き合い泣いている。

「それでいいんだよ、俺は」

「ごめん、ほんと、ヒラ、すまんって…」

教室のドアに手をかけて、振り向かずに言った。

「フラフラしないでよ、カメレオン」