【実ｼ兄者】【ky】触覚は生きている (ページ19)

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告白と希望ページ19

-kiyo-

逃げちゃっただけだから、まだ捕まえられる？

そんなん無理、だってフラれちゃったもん。

放課後、下駄箱で一人考えていると、後ろから声をかけられた。

「…キヨくん？今、ちょっといい？」

振り返ると、ユキさんが居た。

「…何？別にいいけど」

いつもならクラス一の美女と喜んで話すところだが、Aさんのことで頭がいっぱいだった俺は、ユキさんの話などどうでも良かった。

「…あのね、私キヨくんのこと…」

可愛く声をつくって、上目遣いで喋るのがイライラする。吐き気がしてくる。腹立たしい、やっぱりコイツ大嫌い。

「…好きなの、付き合って？」

首を横にかしげて、にこっと微笑む。この可愛い顔を、ぶん殴りたくて仕方がない。

「…ごめん、無理」

「え…？なんで…？」

あー腹立つ。嫌いだから。嫌いなんだよ。

「お前が嫌いだから」

「嘘、違う、Aのことが好きだからでしょ」

わかってんなら聞くなよボケ。

「うん、だから？」

「なんで？！フッたんでしょ？！」

「フラれたんだよ！フラれたけど好きなんだよ！」

俺の怒号が響き渡る。大声を出しすぎた。

「…ぅっ、ぐっ、キヨっ…ぐん…」

「帰れ、八方美人のクソ女が」

今のも少し言い過ぎたが、事実だ。ユキさんは力なく立ち上がり、靴を履き替えて外へ出ていった。

「帰ってゲームしよ…」

時間をかけてゆっくり靴を履き替え、外に出る。

俺、まだAさんのこと好きなんだな。

フジの言ってたこと、案外本当かもな。

昨日の夜、声には出さなかったけど、手のひらを通じて伝わったかな。

大親友だし、伝わったよな。

根拠の無い大切な希望の光をくれてありがとう。