恋愛観 ページ18
-fuji-
キヨが出してくれた布団の中で仰向けになる。
キヨがAちゃんに断られたのも、それが辛くて眠れないのも、全部知ってる。
「わかんないよ、俺。なんもできないよ」
予防線を張ったみたいで、ちょっとカッコ悪いかなと思った。けど、言いたいことはそれしかなかった。
キヨの顔を見ようと横を向いて、ベッドを見上げる。
するとキヨは俺に背を向けて、不服そうに
「わかんないって、なにがさ」
と言う。あぁ可愛い。口角が緩んでしまう。
最近、「友達以上、恋人未満」という言葉の意味がわからなくなった。
元々は男女の関係性を表す言葉なんだろうけど、「友達」より「恋人」のほうが上で、それの真ん中の関係というのがわからない。
他の人からしたら、俺は恋愛観が普通とずれた異常者だ。ただ、わかんない。
自分の気持ちも、キヨの気持ちも、Aちゃんの気持ちも、何も、わかんない。
ただキヨと「友達」じゃ物足りないし、キヨと「恋人」は流石に行き過ぎ。
キヨはAちゃんと「恋人」になりたくて、Aちゃんはきっとキヨと＿＿
「だから、何がわかんないのさ」
「何がわかんないんだろう、それすらわかんなくなった」
「なんだお前」
わかんない。なんだお前。誰だ俺。俺って誰？
わかんないけど、ひとつわかるのは
「キヨとAちゃんには「恋人」になってほしいの」
「…は？無理だよ、フラれたもん」
「Aちゃんは逃げちゃっただけだよ」
驚くほど淡々と、ただ淡々と言葉が出てくる。
「逃げちゃっただけ、まだ捕まえられるよ」
「…わかんね」
「…じゃぁ、おやすみなさい」
「…んだよ、おやすみ」
ありがとう、とベッドから腕だけぶらぶらさせたから、その手をぎゅっと握ってみた。
これは多分、「恋人」にはなかなかできなくて「友達」にはできる、以心伝心ってものなんだと思う。
**********
恋愛と友情の境目が曖昧なフジくんを書こうとしたら腐向けっぽくなってしまったorz
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作者名：えだまめだま | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/edamannf1
作成日時：2019年1月12日 21時
