【実ｼ兄者】【ky】触覚は生きている (ページ12)

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友情と狂気ページ12

-fuji-

「キーヨ」

「…？何？」

肩をぽんっと叩くと、我に返ったような顔をする。

「なにボーっとしてんの、ゲーム中に」

「…え？いやなんでも」

そう言ってテレビ画面に視線を戻すキヨ。でも目の奥は、まだ別の何処かに向いていた。

「キヨ最近、ボーっとしてること多いよな…恋患いってやつ？」

こーすけも、ゲームをしながら話しかけてくる。ヒラも「ねー」と棒読みで相槌を打ち、ゲームに戻る。

「キヨ、なんか気持ち悪いよ」

俺がキヨの腕をゆさゆさしながら言うと、軽く俺を睨んで

「…は？気持ち悪くねーだろ、っつーかフジお前勝手に腕掴むな、お前がキモい」

と手を離された。正直に

「やっぱりキヨの暴言が一番落ち着く」

と言うと、何故か若干引かれた。

「北川さんに腕掴まれたときは、嬉しそうだったけどね」

ヒラがニヤけながら言うと、頬が赤くなり「うるせぇ」とゲームに集中するフリをするキヨ。

人を睨む目、人を罵る言葉、人に気持ちを隠す仕草。

やっぱりこのキヨが一番いいのに。

キヨはAちゃんに狂わされている、この時はそう感じた。

でも、本当は、

俺が、キヨとAちゃんに、狂わされていた。