百二人目のハグ ページ12
Aside
「おいだきまくら、こくおうめいれいだ。おれをだっこしろ」
ラギー先輩に呼ばれ、サバナクロー寮に来た私に、
気が付いた時にはこうなっていたらしくて、原因は分からないみたい。
望みどおりに抱き上げると、機嫌よさそうにゴロゴロと喉を鳴らしてすり寄ってきた。
『撫で心地はいかがですか？』
「わるくねえな、もっとなでろ」
『ふふふ、レオナ国王様は毛並みがとても綺麗なんですね。ふわふわ〜』
「おれをだれだとおもってるんだ、これくらいはとうぜんだろ」
尻尾を腕に巻き付けて、もっと撫でろと頭を手にこすりつけてくる国王様。
この頃からずっと、レオナ先輩は王になりたくてもなれないというもどかしさを抱えていたんだよね。
どんなに努力をしても、認めてもらおうとしても、第二王子である以上は国王にはなれない。
そんな悲しい現実を、こんな幼い頃から見てきたんだよね。
『レオナ国王様』
「あ？」
『私の王は、この先もずっとレオナ国王だけですからね。これからも王として、君臨しててください！』
特別なことは何もしなくてもいいから、そのままのレオナ先輩でいてほしい。
もうあなたは十分、王になるために頑張ってきたんだから。
だから今度は私が、貴方を王にしてあげたい。
物足りないかもしれないけれど、きっと貴方ならもっと大きな王になれるから。
「……なら、このさきもおれのだきまくらになれ」
『ふふふ、仰せのままに！』
「はらがへった、にくはないのか」
『すぐ用意しますね、少々お待ちください』
「いやいい、ラギーによういさせる。おまえはだきまくらとしてじっとしてろ」
『はーい、レオナ国王様！』
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作者名：冥界の女王 | 作成日時：2023年5月28日 15時
