遠井さんと莉犬くん ページ3
「きゃ〜、遅刻遅刻ぅ!!」
私の名前は遠井A!ピッチピチの高校1年生♡なんだけどぉ、
昨日遅くまで起きてたから遅刻寸前なのっ!大変だぁー!
ドタドタドタ ドンッ
「おわっ」
「わ、大丈夫ですかっ?」
「…は?」
…本当にぶつかった。
それは昨日のこと。ジェルが占いとか言って放ったその一言から始まった。
「遠井さんは明日乙女ゲーのヒロインのマネして曲がり角曲がったら、
イケメンとぶつかるよww」
…いや信じてなかったけど、どうしてもやれって言われたからやってみた。
そしたらこのさまってことだ。赤髪の一見危なそうなイケメンとぶつかった。
「えっと…もしかして遠井さん?」
私が突っ立っていると赤髪イケメンの人が言った。まさか。
「いや、違います。」
「あっ、違うか〜。そだよね、もっとハシビロコウみたいな顔って言ってたもんね…」
「あいつ、1回しめるか。」
思わず声に出た言葉に、その人がこちらを向く。どうしようこの微妙な空気。
ちゃんと説明した方が_
「あっ、一通り終わった?」
変なことし始めた張本人のお出ましだ。
「ジェル君、この人が遠井さん?」
「うん、そうだよ。」
「いや、ちーがーうーだーろ!遠井じゃないって何度言ったら_」
「それよりやっと乙女ゲーっぽいこと出来たね。やったぁぁ。」
⋯あー、ほんまこいつといたら腸が煮えくり返るわ。てか私にその人紹介してよ。
「まさか、その人どっかから勝手に持ってきたんじゃないでしょうね?」
「えー遠井さん何言ってんのー?こいつは俺の友達の莉犬くんだよ。」
ジェルがそう言うと、莉犬さんはペコリと会釈した。まさか、ジェルに友達がいたなんてね…。
「1年3組、莉犬です。よろしくね、えーっと⋯」
「Aです。」
「Aちゃんか、覚えた!これからたまに会いに行くね!」
莉犬くんはそう言って微笑んだ。
「良かったね遠井さん。友達出来て。遠井さん友達いないもんね」
「いっ、いるし!同じ学校にいないだけで_」
んん?学校?
「ちょっと待って!私今学校に行く途中だったよね?!しかも遅刻寸前で…
いいい、今何時?!」
「8時30分だけど?」
にこやかなジェルと対照的に私の顔はどんどん青くなっていく。
「HR始まってるじゃん!何呑気に自己紹介してたの、私!莉犬くんもジェルほっといて行こう!」
「もう今日はサボっちゃおうよ。」
えぇ_。新しく出来た友達はもう既に少しジェルに染まっていたのだった。
ラッキー人物
遠井さん
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作者名:どんにゃす | 作成日時:2019年5月19日 18時