カノジョ持ち 〈赤〉

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「さ、帰りますよ！立ってください！！」







さっきの話からは他愛もない話をしていて。






トイレに行くと言って戻ってきたら、





「ん〜…」





重岡さんは夢の中に…。







「嘘でしょ」







いくら腕を引っ張っても、頬をつねっても、この人には神経が通ってないんじゃないかと思うぐらい起きてくれない。







「重岡さん〜」







すると、






「はっ！」






ずっと動かなかった重岡さんが突然起きてせかせかと帰る用意を始めた。







「え、え、ちょ」






お会計もしてないのに出入口の方に向かっている重岡さん。







あの調子だとお金を出す様子はないので、しぶしぶわたしがお会計をすることに…。






もう絶対あの人とは食事しない！







急いでお会計を済ませて外に出ると、






「へい！たくしー！」






と、ふらふらな重岡さんがタクシーを止めていた。








「重岡さん！あ、私も乗ります。」







ついでにわたしも同じタクシーに乗せてもらった。






『行先は？』






「あ、えっと」






…重岡さんの家とか知らない。







でも私の家にあげるのもちょっと…






「あ、〇〇までお願いします」






「え、」







さっきまであんなにふにゃふにゃだった重岡さんが自分の住所と思われるところをいとも簡単にペラペラと。






「ほんとに合ってるのかな…」








内心、心配で仕方なかったわたし。






に対してぐーすか隣で寝ていた重岡さん。






寝るのはや！






…家に着いたらちゃんと起きてくださいね。









こうやって家に送ってあげるのだって、きっと最初で最後。

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