君の林檎になりたい (ページ1)

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「ごめんね、大丈夫？」

人間は下から顔を見たら不細工に見えるものではないのか。バスケットボールを片手に立つ彼は、学校中の誰もが知るイケメン、ジェヒョンだ。彼みたいなかっこいい人になれたらどれだけいいか。

「あのジェヒョンに一目惚れってマジかよ」

『違う。憧れだって何回言えば… 』

テストまで残り一週間なのに、幼馴染であるウィンウィンの勉強を見守ってあげてるのは私の優しさではなく先生の偽善だ。あまり裕福ではない家庭な為に特待生枠を狙って勉強を頑張っただけなのに、こんな事になるなら狙わなきゃ良かった。

「ジェヒョンなぁ、俺も何か知ってたら教えてあげれたけどアイツの友達怖いから… 」

『口動かさないで、手動かしてくれる？そのページ開いてからもう三十分経ってるけど』

言うまでもなく端正な顔なウィンウィンは鍛え上げられた愛嬌で、今まで難なく問題を解決してきた。私以外は。ウィンウィンの上目遣いにはもう慣れた。デコピンをし、教科書へと向かわせたが文句を垂れている。

「 Aさん、勉強中ごめんね。ちょっといいかな」

背筋を伸ばせば高く見えるはずの背中を丸めるヒョヌ先生。ウィンウィンのお世話を頼んだのもこの先生だ。ヒョヌ先生の後をついていき、職員室の中へと入った。

「ウィンウィン君の面倒見てくれてありがとう。忙しいのに無理な願い聞いてくれてありがとうね。あ、飴ちゃん食べる？アレルギーとかある？」

私の機嫌を取るように大量のプリントやら教科書やらエナジードリンクの缶やらが転がっている机の引き出しから林檎味の飴を取り出したヒョヌ先生。仕方なく飴を受け取ると、ヒョヌ先生の疲れた顔は少し元気を取り戻したみたいだ。

「隣のクラスのジェヒョン君って知ってるかな？」

『 …まぁ、はい』

良かった、と安堵の息を吐いたヒョヌ先生は、紙一枚を渡してきた。プリントに目を通すと、それは前期のテスト点数表のようだった。上から、十八点、五十二点、三十九点、四十五点、十三点、八点。びっくりするほど全て赤点だ。

「見ての通りひどい点数だろ。彼、部活に入ってるんだけど忙しくて勉強できてないらしいんだ」

『だから勉強を教えろと…？』

「本当にごめんね。隣のクラスのシウ先生怖くて… 」

弱々しいヒョヌ先生を断る勇気は私には無かった。