選択肢 ページ31
バンッ！
大きな音が小さな部屋に響き渡る。
またこれだ。
ここ3週間、ずっとこの人と頭を突き合わせては怒鳴られるし、机を叩いて威嚇してくる。
この人と初めてあった時は優しかった。
芸能界でも指折りの優しさで有名な人で
分け隔てなくどんな若手でも声をかけるそんな人気俳優さん。
中学時代から演技1本でやってきた生粋の俳優さん。
活動再開直後でスキャンダルを避けたいアイドルの俺が演技の畑で
自由にしているのが気に入らないらしい。
3週間も缶詰め状態で行う超短期集中型スケジュールは、
活動再開直後で大量の仕事におわれる俺のせいであるのは周知の事実。
でもそのことに対する不満はないらしい。
ただ俺が嫌いなだけ。
毎日ぶつけられる言葉はもう慣れた。
この3週間、メンバーや親しい人に合わなくていいのが不幸中の幸い。
『帰れ』
って言うくせにほんとに帰ろうとしたら俺のバッグを奪って蹴りまくる。
『殺すぞ』
って言うくせにじゃあ殺せよって言えば、面白くなくなるってまたキレる。
『なんで生きてんだよ』
って言うくせにじゃあ死ねばいい？って聞けば、死に方は俺が決めると謎の言葉と共に色んな選択肢を提示してくる。
『なんで産まれてきたんだよ』
って言うくせに俺が生まれてこなきゃ良かった？と聞けば、俺の玩具として生まれてくりゃ良かったのにと灰皿を投げてくる。
マネージャーさんはリスケに走ってるからここにはいない。
顔を真っ赤にしてただ暴言を吐いてくるソイツと向き合う。
『アイドルの何が嫌いなのか』
俺はそれが聞ければ、もっと燃えるタイプの人間だから教えて欲しいよな。
そう、俺の心はこうして蝕まれていったんだ。
ごめん、俺はこれに耐える以外の選択肢は持ってない・・・
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
リクエストコメントもお待ちしてまーす！！
(ハート、お星さまお願いします。)
(リクエストやインスタのフォローもお待ちしております。)
@uratuku.arato
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 73人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：新杜 | 作成日時：2022年7月11日 13時
