3日目 ページ4
カチカチ……。
少しお互いの緊張もほぐれて、もうそろそろくるかな、そう思っていた頃。
ま「……聞いてもいいかな?」
予想通り、まふから先に本題を振ってきた。
そのまま声には出さずに私はコクリとだけ頷く。
でも、それは私が思っていた話とは少し違っていて、
ま「どうして、あんな時間にコンビニにいたの?」
「……え」
少し、いや、かなりびっくりしてしまった。
普通そこは、
どうして万引きしようとしたの?とかが最初に来るものでしょ……。
なのに、
ま「危ないでしょ?あんな時間にあんな人気のいないコンビニに女の子1人で居たら」
"しかも君、見るからに中学生ぐらいの子だよね?
何かあってからじゃ遅いんだからね?"
そう言って彼は、私を子どもに接するかのようにムッとした顔で叱ってきた。
「ちょ、まって、パン盗もうとした事については?」
ま「もちろん、それもダメだよ…でも、」
でも、"何か理由があるんでしょ?"
「っ、何もないよ」
ま「うそ、見た感じ、手ぶらだし顔はやつれてクマもひどい」
"そんな状態の人を無理に、ましてや、
理由も知らないで怒ることなんて僕には到底出来ない。"
そう彼は言った。
「……お人好しですか?」
ま「ふっ、よく言われるなぁ」
いや、褒めてないし。
そんな誇らしげな顔されても困るから。
ま「あっ、でも!」
ピシッ!
「〜〜っ!? へ!? なっ、」
ま「今度万引きしようとしたら、これよりもっと痛いやつだからね?」
油断は禁物、とはこのことを言うのだろうか。
額にはまふからくらったデコピンのヒリヒリした痛みと、
目の前に出されたデコピンの形をしたまふの指。
油断してたから、尚更痛い。
ま「A、返事は?」
「……ん。」
ま「ん、じゃない」
「……はい。」
ま「ん、いい子」
くしゃり、片手で頭を優しく撫でられた。
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いるよ - 最高過ぎました… (2022年12月5日 19時) (レス) id: 7464634473 (このIDを非表示/違反報告)
千華(プロフ) - 未成年だから途中まで!また成人して覚えてたら見に来ます! (2021年5月25日 17時) (レス) id: ff1aa8f056 (このIDを非表示/違反報告)
しふぉ - このお話が好き過ぎてまた見に来てしまいました。 (2021年2月7日 2時) (レス) id: 19d2dfc8bd (このIDを非表示/違反報告)
雪 - 良かったです。また書いてくれると嬉しいです。 (2020年12月11日 12時) (レス) id: c11f1036fc (このIDを非表示/違反報告)
。。みかん - あの、後日談みたいな成長した主人公ちゃんと歌い手たちの話が欲しいと切実に思いました。もう、、あの、本当、、、好きです。(唐突な告白) (2020年11月29日 21時) (レス) id: 301c148c11 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:羽鳥 | 作成日時:2017年10月23日 3時