56.積極的で ページ6
｢そこまで逃げなくてもいいだろ♠｣
眉を下げて笑うヒソカが手招き──というか挑発する。普段なら勇んで飛び掛るところだが、その笑みから
｢……行かないわよ｣
｢んーん、来るの♦｣
｢な、馬鹿ｯ外せ！｣
その台詞に漸く
呆気なく肩から引き寄せられて、バランスを崩す。そのまま崩れるように彼の腕の中に倒れ込んだ。
軽々と私を抱きとめた彼は、そのまま背中に手を回して、逃げ道を奪ってしまう。袋のネズミとか籠の中の鳥とか、喩えはどれでもいいが、正にそんな感じだ。
｢何処に行く気だい♣｣
｢この状況から逃げられるのなら何処へでも、よ｣
｢そう嫌うなよA♠｣
｢じゃあ今すぐ離して頂戴｣
｢それはダメ♦｣
｢……意味がわからないわ｣
はあ、と溜息を吐く。せめて何がきっかけになったかだけでも分かれば良かったのだが、生憎ヒソカの考えていることなんて私には何一つ分からない。出来ることと言えば話を変えて、彼の気を逸らすくらいだろう。
｢……ねえヒソカ……時間が勿体無いわ。私の師になってくれるのでしょう？｣
｢くく……熱心だねｪA？ イイよ、積極的で♦｣
低く笑ったヒソカの琥珀の瞳がゆらりと輝いた。そして私を捕らえていた腕が外される。
──成功、かしら？
｢じゃあヤろっか♥ ボクの命令に従うんだよ、A♣｣
それから聞き取るのがやっとという勢いで説明されるのは、どう考えても私を殺す気としか思えない位に厳しいメニュー。怒涛の勢いに圧倒されてしまい、序盤の内容は既に忘れてしまった。
｢……冗談がキツイわよ？｣
｢んーん、真面目♥｣
戸惑って笑っていると、｢ホラ♦｣と軽く足を蹴られる。そんなに沢山こなせる訳ないでしょう、と言い返したいのを何とか飲み込んだ。大人しく従うしか無い上に逆らったところでどうにもならない。
──受け入れるしかない、か……。
｢ごめん、最初の方の内容を忘れてしまったから……また初めから教えて頂戴｣
｢イイけど……じゃあペナルティとしてワンセット追加♦｣
｢……楽しんでるわね｣
｢当然♥｣
くくっ、と笑ってヒソカは改めて内容を説明してくれた。私は明日の我が身の無事を祈り、彼の指示に従うだけ。
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愛赦(プロフ) - Ashさん» ただいま！と答えてみます！！ 嬉しいです、ありがとうございます！ (2018年4月5日 23時) (
レス) id: 3e889bc628 (このIDを非表示/違反報告)
Ash(プロフ) - おかえりなさい！待ってました！！ (2018年4月5日 7時) (レス) id: a6c8ba769b (このIDを非表示/違反報告)
愛赦(プロフ) - Ashさん» お祝いありがとうございます！ そう言って頂けて幸せです、更新頑張ります！ (2018年2月28日 0時) (レス) id: 3e889bc628 (このIDを非表示/違反報告)
Ash(プロフ) - 続編、待ってましたー！！もう、ヒソカの変態的な紳士っぷりが、素敵です。すごく、好きです。改めておめでとうございます！！ (2018年2月27日 21時) (レス) id: 756149ac18 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：愛赦 | 作成日時：2018年2月27日 18時
