61.雨と灰色 ページ11
｢くく……あはは……ははははは♥｣
あまりに上手く行き過ぎている事態に、ボクは溢れる笑いを抑えられずにいた。薄暗い部屋にはAの暗い心情を反映するかのように降り出した雨の音と、対照的に楽しげなボクの笑い声が響く。
Aが飛び出した後、ボクはカノジョのハンターライセンスが置き去りになっていることを確かめた。今日の試合に出る前に机に置いたまま、それきりだった。これがあるのでカノジョは確実に此処へ戻ってくる。
──Aのペンダントが壊れた。それはボクにとっては願っても無い幸運。
これでカノジョを守るものは無くなったし、ボクの頭を悩ませていたものも消え失せた。
あのペンダントには丁寧な｢陰｣が施されていたので一体いつ念が外れたのか、または弱まったのかは分からない。ただ、それが起こったのは少なくとも4次試験以降だろう。
念による強化を失いつつあったペンダントは、先程の衝撃に耐えられなかったらしい。
Aがほぼ無傷だったことから、身代わりとなって割れたとも考えられなくは無い。しかしそれだと死後の念ということを踏まえても強大すぎるので、この可能性は薄い。
ひとつ気掛かりなのは、カノジョが今後どうなるかだ。これを切っ掛けに過去への執着を捨て、吹っ切れてくれたらいいのだが、ショックで｢青い果実｣としての成長を止めてしまう可能性は否めない。
此処へ来て以前よりは成長しているから、多少は遊べるだろう。しかし所詮未熟なAだ、恐らく暇潰しにすらならない。何より、折角の果実が熟す前に腐り落ちてしまうのは本当に惜しい。ボクが純粋にAに対して興味を抱いているから尚更だ。
…………まあ最悪カノジョを失っても、ボクにはまだゴンも残っている。
Aの心情がこれからどうなろうと、ボクに損は殆ど無い。ただ得るものの大きさが変わるだけだ。
｢イイよ、凄くイイ♣｣
期待に胸だの股間だのを膨らませていると、雨音が聞こえないことに気付いた。外に目をやると、遥か下に広がる通りを鮮やかに彩っていた傘の花は、既に閉じられて萎んでしまっている。いつの間にか雨は止んでいたらしい。
｢早く帰っておいでA……♠｣
曇った窓ガラス越しに灰色の通りを眺めて、小さく独り言つ。何度も泊まっている筈のこの部屋がやけに広くてもの寂しい感じがするのはAと長く居すぎたせいだろうか。
続く (更新停止中)
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愛赦(プロフ) - Ashさん» ただいま！と答えてみます！！ 嬉しいです、ありがとうございます！ (2018年4月5日 23時) (
レス) id: 3e889bc628 (このIDを非表示/違反報告)
Ash(プロフ) - おかえりなさい！待ってました！！ (2018年4月5日 7時) (レス) id: a6c8ba769b (このIDを非表示/違反報告)
愛赦(プロフ) - Ashさん» お祝いありがとうございます！ そう言って頂けて幸せです、更新頑張ります！ (2018年2月28日 0時) (レス) id: 3e889bc628 (このIDを非表示/違反報告)
Ash(プロフ) - 続編、待ってましたー！！もう、ヒソカの変態的な紳士っぷりが、素敵です。すごく、好きです。改めておめでとうございます！！ (2018年2月27日 21時) (レス) id: 756149ac18 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：愛赦 | 作成日時：2018年2月27日 18時
